こんにちは!シュガーです。
ブログを書くのはめちゃくちゃ久しぶりですが、7/18発売の『卒業生には向かない真実』で、私が大好きなミステリシリーズが完結となりました。
正直、ここ2作だけでも最高に好きなシリーズだったのですが、この完結作を読んで、
「もうこれ以上のシリーズは出てこないかもしれない」と思ったくらいなので、今回は3作品全てをレビューしてみたいと思います!
1ページ目では1作目の『自由研究には向かない殺人』を、
2ページ目では2作目の『優等生は探偵に向かない』を、
そして3ページ目では完結作の『卒業生に向かない真実』のあらすじ解説とレビューをしますが、それぞれ大筋のネタバレがあるのでご注意ください!※そのためにページを分けてます。
それでは、まずは1作目から!
物語の完成度が圧倒的な1作目『自由研究には向かない殺人』
まず1作目の自由研究〜ですが、これはミステリオタクの私が最高傑作レベルに推している作品で、ミステリというか、物語としての完成度がとてつもなく高いです。
最近「おすすめの小説は?」と聞かれたら、割とノータイムで人に勧めているのがこの『自由研究には向かない殺人』ですね。
まず簡単に主要人物とあらすじの紹介からしていきます。
主人公は17歳の女子高生、ピッパ・フィッツ=アモービ。愛称はピップ。
まずこの名前が強烈です。思わず声に出して読みたい。オビ=ワン・ケノービみたい
この作品は英国BBCでのドラマ化も進んでいるらしいのですが、ピップ役はエマ・マイヤーズさんがやるようです。
この美女がピップ!?
想像していたより10倍可愛くて困惑しますが、とりあえずこの女子高生が主人公です。
ピップが住む街、リトルキルトンでは5年前にとある事件が起きて、
アンディという女子高生が死亡、そしてアンディの恋人であったサルという青年が犯人で、その罪の重さに耐えきれず自殺した、という結論で捜査が終了していました。
しかしピップは、サルが犯人だとは全く考えていませんでした。
ピップは小さい頃、学校でいじめられたときにサルに助けられたことがあったのです。
ピップにとって、サルはヒーローでした。
ピップは学校の自由研究のテーマとして、この事件を独自に調べてやろうという計画を立てます。
そして先生から、「このテーマはあまりにセンシティブで危ないから、被害者の関係者とは絶対に接触しないこと」という条件付きでこの自由研究が始まる、というところから物語がスタートします。
まず面白いのが主人公ピップの性格。
この数ページ後にはもう遺族にインタビューをしているのですw先生との約束はどうした。 ピップはとんでもなくしたたかなJKなのだ。
ピップは関係者へのインタビューを録音したり、各種SNSなどを駆使して捜査を進めていくのですが、この過程がとんでもなく面白い。
普通の文章ではなく、インタビューの会話だけのシーンや、インスタのDMでどうこうしたり…まず小説としてめちゃくちゃユニークなんです。
そして二人目の主要人物が、自殺した青年サルの弟であるラヴィ。
リトルキルトンでは、サルがアンディ殺しの犯人であると決め付けられているため、サルの家族である両親、弟であるラヴィは誹謗中傷にあったり、まともに生活することすらできなくなっていました。
ラヴィは、ピップが捜査を始めた当初「もうこれ以上家族をかき回さないでくれ」と怒りますが、ピップが真剣にサルを無実だと思っていること、なんとしてもそれを証明しようと思っていることに気づき、ピップの捜査の相棒になります。一緒にサルの無実を暴こうと。
そしてピップを取り巻く親友のJKズなど、周辺の登場人物もみんな魅力的。
ピップの親友であるカーラが失恋したとわかった途端、緊急事態だとお菓子を持ってカーラの家に集まって慰め会(という名の失恋相手の悪口会)をやるなど、とにかくキャラクターがめちゃくちゃ面白くて魅力的なのです。
その中心で誰よりも魅力的なのがやっぱり主人公のピップで、とことん図太く、猪突猛進気味に新しい真実を次々と暴き出します。
そんな中、真実に近づくピップに、ついに真犯人から脅迫のメッセージが届くようになります。同時に、誰かから監視されているよう感じたり、ちょっとドキっとする怖い場面も出てきます。
が、ピップは捜査をやめようとしません。どんどん真相に近づいていくピップ。
…その結果、ピップにとって最も大切な存在である家族の一人が犠牲になってしまいます。
まさかの仕打ちに打ちのめされ、大切な家族や友人たちを守るために全ての捜査をやめると言いみんなを遠ざけるピップでしたが、相棒のラヴィはそんなピップの心情を汲み取って、犯人に見つからない方法で二人で捜査を続け、全てを終わらせようと手を取ります。
そしてピップはついに真実に辿り着きました。
この結末はミステリ的にも意外ですし、物語の起承転結としても抜群です。
解決に向かう前にピップが自暴自棄になって全てを投げ出してしまい、そこから復活する展開が単純に物語としてアツいんですよね。ミステリの枠を超えて、冒険小説、そしてティーンエイジャーの恋愛小説としても一級品の出来なのです。
犯人は無事逮捕され、物語は、一躍街の有名人となったピップが大きなホールで自由研究を発表するシーンで幕を閉じます。
サルがいかに素晴らしい青年だったか、家族が涙ながらに語るシーンは感動しますし、ピップとラヴィが壇上で手を繋ぐラストシーンは終わり方として美しすぎて拍手すらしたくなるレベルでした。
私は本当に最高のミステリシリーズが始まったと思って、心の底から喜んだものです。
まさか物語が想像もしない方向に展開するとは思わずに…
そして第二作『優等生は探偵に向かない』に続きます。