【部門別】最高に面白いおすすめミステリ小説ランキング!【国内&海外】

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この記事では、私が今まで読んだミステリーを「結末の衝撃」「巧妙な伏線」「一気に読ませる」「話の面白さ」「完成度」の観点からS/A/B/Cの4ランクで評価し、「どんでん返し部門」「プロット完成度部門」「本格/謎解き部門」「トリック部門」「一気読み部門」「サスペンス部門」「短編部門」の7部門に分けて紹介しています!

自分だけの本棚を作るつもりで随時更新します!

ここに紹介しているものは少なくとも私が結構面白いと感じたものだけなので、当然個人的な好みと未読による抜けがかなり含まれますが(特に合わないと思った作家は基本読まないため)、ツボが似てるなと思った方にはお役に立てるかもと思いますので、是非楽しんでいって下さいね!

※更新履歴

5/4:『暁の死線』(サスペンス部門)

6/1:『鳥』(短編部門)

7/15:『告白』『母性』(一気読み部門)

7/17:『ユリゴコロ』(一気読み部門)

8/10:『ケイトが恐れるすべて』(一気読み部門)

10/29:『メインテーマは殺人』(本格ミステリ部門)

11/14:『アリス殺し』(本格ミステリ部門)

12/25:『わが母なるロージー』(サスペンス部門)

今の一押し情報!

この記事で紹介している『屍人荘の殺人』『ジェリーフィッシュは凍らない』『体育館の殺人』『イニシエーション・ラブ』『そして誰もいなくなった』は、Amazonの音読サービスAudible対応作品です!他にも、メジャーどころのアガサ・クリスティ作品や、別ジャンルの有名作品も対応しています。

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Contents

【どんでん返し部門】のおすすめミステリ

『十角館の殺人』 綾辻行人

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。

海外古典ミステリばかり読んでいた私が国内ミステリにハマるきっかけを作ってくれた思い出の一冊。『そして誰もいなくなった』をオマージュしているので、海外ミステリファンがこの作品から国内ミステリに挑戦した場合おそらく100%衝撃を受けますねw

あの有名な一行で背筋が凍った体験は今でも忘れられません。

というか、背中がゾクゾクっとしたのなんてあれが人生で初でしたw 一言で「ドカン」と来るという意味では右に出るものはいない作品ですね。

普段ミステリに触れる機会がない方に、最初に手に取って欲しい一冊です。私と同じように、ハマるきっかけになってくれるかもしれません。

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:S

『ハサミ男』 殊能将之

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!

連続殺人犯である「ハサミ男」が次の被害者を殺そうと狙っていたところ、ターゲットが他の人に殺されてしまい、しかもそれは自分と同じ手口の模倣犯による犯行だった!

そしてハサミ男本人が事件の調査を始めるというユニークな滑り出しに引き込まれます。

こちらもあるトリックで有名な作品で、ミステリとしての満足度は一級品。最近のミステリはメインの大トリックを1つに絞っていることが多い印象がありますが、この作品は核となる謎が多く、多くの読者は見事に目を眩まされてしまうと思います。

さらにこの『ハサミ男』は登場人物とストーリー自体がかなり面白く、この点でも他のミステリの一歩上を行っていると思います。

ちなみにこの作品は映画化もされていますが、小説未読の方は観ないことはもちろん、絶対に調べもしないでください。ネタバレされます…。

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:S

『殺戮にいたる病』 我孫子武丸

永遠の愛をつかみたいと男は願った――東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔! くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。

かまいたちの夜でも有名な我孫子武丸先生の1作。

この作品をネタバレなしに語るのは不可能な気がしますが、ある種のトリックでは私はダントツのクオリティだと思っていて、これ以降同じトリックで挑んだ作品はこの『殺戮に至る病』を越えられてないなぁと感じます。とにかくラストの衝撃が半端ない。色んな意味で。

ただしかなり内容が生々しくてグロいので、その耐性が極端に低い人には全くおすすめできないんですが、大丈夫という人には真っ先におすすめして本を貸したりしています。笑

返してもらう時に大体いいリアクションを返してくれるので、信頼している一冊です!

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『首無の如き祟るもの』 三津田信三

奥多摩の山村、媛首村。淡首様や首無の化物など、古くから怪異の伝承が色濃き地である。三つに分かれた旧家、秘守一族、その一守家の双児の十三夜参りの日から惨劇は始まった。戦中戦後に跨る首無し殺人の謎。驚愕のどんでん返し。本格ミステリとホラーの魅力が鮮やかに迫る。「刀城言耶」シリーズ傑作長編。

どんでん返しが好きならこれは読んでおかないと損をする一冊!

横溝正史の犬神家のような、陰鬱な雰囲気漂う土地の一族のもとで起こる連続首無し殺人事件。怪奇的な雰囲気も合わさり、ボリュームの割になかなか読ませます。私はこういう雰囲気の作品はどちらかというと苦手なのですが、2日で読んでしまいました。

そしてなんといっても終盤の怒涛の展開は、「凄い」の一言。数多く散りばめられた伏線の回収と、たった一つの事実から全てのピースが嵌っていく展開が鮮やか。

終わり方もゾッとする感じで、なかなかの余韻です。

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『星降り山荘の殺人』 倉知淳

雪に閉ざされた山荘。そこは当然、交通が遮断され、電気も電話も通じていない世界。集まるのはUFO研究家など一癖も二癖もある人物達。突如、発生する殺人事件。そして、「スターウォッチャー」星園詩郎の華麗なる推理。あくまでもフェアに、真正面から「本格」に挑んだ本作、読者は犯人を指摘する事が出来るか。

雪の降る外界から遮断された山荘が舞台で、各章のはじめに作者からの説明文があり(この章では○○が起こる。この点に注意、など)、本格ミステリのような雰囲気を醸し出す一作。

他のミステリとは少し違ったところにトリックの核がある作品で、わりと人を選ぶと思いますが私は結構好きです。この本に関してはネタバレせずにコメントするのが難しいw

最近(2017年夏)新装改訂版が出たので、これを機会に手にとって見るのをおすすめします。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『神様ゲーム』 麻耶雄嵩

自分を「神様」と名乗り、猫殺し事件の犯人を告げる謎の転校生の正体とは? 神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか謎の転校生・鈴木太郎が事件の犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。そして、鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか?

麻耶雄嵩の神様シリーズ第一作。

この作品はとにかくすべてが高水準。とにかく全てを知っている「神様」の設定が見事。一見ミステリと合わさりようがない設定に思えますが、神様が真実を知っているからこそ逆説的に事件の内容が見えてくるという構造が面白いです。

それでいて200ページ足らずのため数時間で読めちゃう上に、どんでん返しの強烈さも充分。これがもともと児童向けミステリとして出版されたのが信じられない。自分だったらトラウマになってますね。笑

これが気に入ったら2作目の『さよなら神様』もぜひ。

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:S

『さよなら神様』 麻耶雄嵩

1行目から真犯人の名前をズバリ公開!?
極北を行く麻耶ミステリーの最高傑作

「犯人は〇〇だよ」。
クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。
やつは神様なのだから。

神様の残酷なご託宣を覆すべく、久遠小探偵団は事件の調査に乗り出すが……。

衝撃的な展開と後味の悪さでミステリー界を震撼させ、
本格ミステリ大賞に輝いた超話題作。

「犯人は○○だよ」から始まるという非常に変わった連作集で、名作『神様ゲーム』の設定を引き継いだ2作目。

前作と比べると今作はミステリの構造を神様という仕掛けを使っていかに面白くできるかという試みが複数組み込まれていて、斬新なミステリとして楽しめます。

前半の作品は、神様が言う犯人には一見アリバイがあって犯行が不可能に思えるが、神様が犯人だといってるからにはどうにかしてやったんだろうというアリバイ崩しの面が多く人を選ぶかと思いますが、

4話の「バレンタイン昔語り」からは一気に面白さが加速していきます。個人的には『神様ゲーム』のほうが好きですが、こちらも素晴らしい出来なのは疑いようがありません。

ただツッコミどころも多くて、小学校が舞台なのにもはや登場人物が小学生だという設定を作者が完全に無視しているようにしか思えないのが笑えますw 「奴の神性の呪縛から解き放たれる」とか小学生のセリフとしてはおかしすぎるw『神様ゲーム』では違和感なかったんだけどなぁ…舞台が高校のほうがしっくりきた。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★

おすすめランク:A

『迷路館の殺人』 綾辻行人

奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた四人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった。周到な企みと徹底的な遊び心でミステリファンを驚喜させたシリーズ第三作、待望の新装改訂版。初期「新本格」を象徴する傑作。

綾辻行人の館シリーズ3作目。

迷路が張り巡らされた館の中で、推理作家が迷路館をテーマにした推理小説を書くが、その通りに次々に殺人が起こってしまう。

とにかくテンポがいいので一気に読めますし、ラストのどんでん返しも衝撃的です。十角館が気に入った方は是非。

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『倒錯のロンド』 折原一

精魂こめて執筆し、受賞まちがいなしと自負した推理小説新人賞応募作が盗まれた!? ──その“原作者”と“盗作者”の、緊迫の駆け引き。巧妙極まりない仕掛けとリフレインする謎が解き明かされたときの衝撃の真相。鬼才島田荘司氏が「驚嘆すべき傑作」と賞賛した、本格推理の俊鋭による渾身の長編推理小説。

折原一の作品で最も有名だと思われる作品。

作家志望の主人公:山本が月刊推理新人賞に受賞確実の手応えを感じた作品『幻の女』。手書き原稿を友人にタイプで打ってもらうことにするのだが、その友人がなんと原稿を紛失。そしてそれを拾った第三者が何気なしに読んだ『幻の女』の出来に感嘆し、受賞により得られる賞金と印税目的に、自分のものとして月刊推理賞に応募し、なんと受賞してしまう…!?

原作者と盗作者の駆け引きが殺人にまで発展していくこの作品は、とにかく話の展開が超がつくほど面白い。

とにかく先が気になって読んでいるうちにもう終盤。「ここからどんでん返しです」と筆者に言われて「あれ、もうそんなとこまで来てたのか!」と驚いてしまいます。

騙しの作品としては間違いなく超S級なのですが、大前提となるトリックが人を選ぶかもしれない…!私もあれさえなければと思っている読者の1人です。

でも、「サクッと読めて綺麗に騙される」話やサスペンスが好きなら超おすすめの一冊です。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★

おすすめランク:B

『消失!』 中西智明

見事な赤毛と死体の消失。これが連続殺害事件の共通項だった…。二十五歳で、研究論文『都市と探偵』のベストセラーを持つ気鋭の私立探偵、新寺仁。彼が著書の中で詳しく分析した福×県高塔市に事務所を開くと間もなく、この不思議な事件が発生した。猟奇的な色あいを帯びるこの事件、真相は意外にも。

1993年に文庫化されてから2017年まで重版されなかったため、どうやら一部で幻の傑作だと呼ばれている一作。中西智明さんの長編はこれ1作なのでよりレア感がありますね…。

赤毛が狙われるということだけが共通点の3つの事件。何故かどれも死体が消失してしまっていて…。

連続でどんでん返しが展開されるので、驚きたい人にはおすすめ。

実は文庫版の表紙にはマジックアイの仕掛けがあり、これを見てしまうと話のトリックがわかるというおまけ付き。必ず読み終わった後に見てください。笑

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『夜歩く』 横溝正史

「我、近く汝のもとに赴きて結婚せん」という奇妙な手紙と佝僂の写真が、古神家の令嬢八千代のもとにまいこんだ。三日後に起きた、キャバレー『花』での佝僂画家狙撃事件。それが首無し連続殺人の発端だった……。因縁の呪いか?憎悪、貪欲、不倫、迷信、嫉妬と、どす黒い要素が執念深くからみあって、古神家にまつわる、世にも凄惨な殺人事件の幕が切って落とされた! !

横溝正史の金田一耕助シリーズの作品。

このシリーズは映像化の影響か、獄門島、犬神家の一族、八つ墓村、悪魔の手毬唄あたりが圧倒的な知名度を持っていると思いますが、この夜歩くもめちゃくちゃ面白いのでおすすめです。私は獄門島の次に好きです。

最近の国内小説ばかり読んでいると、この作品から醸し出される雰囲気のおどろおどろしさに驚くかも。オチの切れ味も抜群ですよ。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午

かつては探偵事務所で働き、いまは「何でもやってやろう屋」を自称して気ままな生活を送る「俺」成瀬将虎。
ある日、高校の後輩のキヨシの頼みで、彼が密かに惚れている久高愛子の祖父の不審死と、高額で布団や健康食品を売りつける蓬莱倶楽部の調査を引き受ける。
そして同日、駅のホームで飛び込み自殺しようとした女・麻宮さくらを助けたことで、運命の歯車が回り始める――。

蓬莱倶楽部の悪徳商法を調査する将虎の軽妙なハードボイルド探偵の活躍を楽しむあなたに、ラストで襲い掛かる大どんでん返し!?

日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞ダブル受賞&「このミステリーがすごい!」「本格ミステリベスト10」で第1位!

これはなかなか問題作の部類だと思います。とにかく尖った作品なので人を選びます。

トリックはもちろん、ストーリーの本筋とキャラクターという点でも人を選びますw

私はあまり好きじゃなかったんですが、トリックを見破るつもりですごく丁寧に読み進める結構ガチ志向の人や、とにかく騙されることが快感だという人には強くおすすめ。

何故ならこの作品は、他の作品に比べて圧倒的にオチを見破るのが難しいんじゃないかと私は思っているからです。なので、本気で挑むにはかなり手応えがあるでしょうし、騙されたい人にはもってこいです。

ラストに伏線に関しての解説がありますが、解説をしっかりしないとアンフェアに思われるんじゃないかというようなレベルの伏線が多く、それを「よく出来てるなぁ」と感じるか、「ここまでして騙したいの?」と感じるかでトリックへの好みがわかれると思います。

私はミステリーに関しては作者側も危ない綱渡りしているほうが好みで、作者がヒントを出していればいるほど、騙された時に「お見事」と言いたくなるんですよね。

しかしこの作品に関しては、パワーバランスが圧倒的に作者側にあるように感じられて、読者である私は圧倒的なパワーで為す術もなく散ったという感覚でした。

とは言え、結末の衝撃度なら間違いなくトップクラスの一冊なので、気になる方は是非手にとってみてください!

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★★(もはや巧妙を越えた理論的な伏線)

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『ジェリーフィッシュは凍らない』 市川憂人

特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー六人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中に、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行システムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。21世紀の『そして誰もいなくなった』登場! 選考委員絶賛、精緻に描かれた本格ミステリ。第26回鮎川哲也賞受賞作。

市川憂人のデビュー作にして、鮎川哲也賞受賞作品。マリア&漣シリーズの第一作です。

21世紀の『そして誰もいなくなった』というコピーが表すように、あの名作と『十角館の殺人』を思い出させます。

私にとっては十角館ほどの衝撃はありませんでしたが、よく挑んだなと思わせる作品でした。ただマリアと漣の掛け合いはちょっと好みが分かれるかも。

この作品はAudibleでオーディオブック化されているので、未読の方は無料体験で聴くこともできます。ぜひ!

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『ブルーローズは眠らない』 市川憂人

両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックは、遺伝子研究を行うテニエル博士の一家に保護される。彼は助手として暮らし始めるが、屋敷内に潜む「実験体七十二号」の不気味な影に怯えていた。一方、〈ジェリーフィッシュ〉事件後、閑職に回されたマリアと漣は、不可能と言われた青いバラを同時期に作出した、テニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査してほしいという依頼を受ける。ところが両者との面談の後、施錠された温室内で切断された首が発見される。扉には血文字が書かれ、バラの蔓が壁と窓を覆った堅固な密室状態の温室には、縛られた生存者が残されていた。各種年末ミステリベストにランクインした、『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第2弾!

『ジェリーフィッシュは凍らない』に続く、マリア&漣シリーズ第二作。このシリーズはSF風ミステリという位置づけで決まりかなというのがこの2作目ではっきりしてきましたね。

今作は前作以上に魅力的な謎をバンバン提示してきて、とてつもなく先が気になるまさに一気読み系のミステリです。

魅力的すぎる謎に対して解決編でちょっと引っかかる部分が残ったかなという印象は受けますが、やはりドラマ性の高さがこのシリーズの魅力でしょうか。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『アクロイド殺し』 アガサ・クリスティ

名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。ミステリ界に大きな波紋を投じた名作。

説明不要の「フェア、アンフェア論争」を生み出した名作。今読むと完全にフェアでしかないんですけどねw

ミステリとしてお手本のような作品で、今読んでも充分に楽しめました。

こちらの記事で伏線を振り返ってみたので、読んだことがある方はぜひこの記事で振り返ってみてください。

こんにちは!シュガーです。 今回改めてミステリの名作『アクロイド殺し』を読み直してみました。 この作品はアガサ・クリスティの「フェア・ア...

また、三谷幸喜が映像化した「黒井戸殺し」は原作に忠実で非常にいい映像化なので必見。FODプレミアム(1ヶ月無料)でのみ観ることができます。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

ジェフリー・ディーヴァー「リンカーン・ライムシリーズ」

海外ミステリ作家の中で「どんでん返し」に定評がある作家といえば、ジェフリー・ディーヴァー。

映画化もされていて知名度の高い第一作目「ボーン・コレクター」から始まるリンカーン・ライムシリーズはどれもどんでん返し、サスペンス性、キャラクターの魅力に溢れていて面白いです。

また、小説全体の特徴としては情景が頭に浮かびやすく、捜査シーンが専門知識満載で抜群に面白いことが挙げられますね。海外ものが苦手でも読みやすいと思います。

映画でしか知らないという方にはぜひ手にとってみてほしいシリーズですが、もちろん全てが当たりというわけにはいかず、「どんでんがっかり」なものも正直ありました。

ここではシリーズ1作目の『ボーン・コレクター』と、最高傑作と名高い7作目『ウォッチメイカー』をおすすめします。この2冊は文句なしに面白いので。

『ボーン・コレクター』 ジェフリー・ディーヴァー

ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が忽然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指輪が光っていた……女はどこに!? NY市警は、科学捜査専門家リンカーン・ライムに協力を要請する。彼は四肢麻痺でベッドから一歩も動けないのだが……。ハンデをも武器にする、ニューヒーローが大活躍の傑作ジェットコースターミステリ。<リンカーン・ライム>シリーズ第1弾!

上で説明したとおり、映画化もされた「リンカーン・ライム」シリーズの第一作。

とにかく先が気になるし、どんでん返しがあるし、読みやすいし、捜査シーンは面白いし、恋愛小説としても見どころアリで、読んでいないともったいないと断言できる海外ミステリの1つ。

映画もなかなか上手に映像化していると思いますが、実質原作の序盤〜中盤の内容くらいしかない感じで、映画版は犯人の描き方がかなり甘く、ライムとサックスの間のドラマもかなり省略されているので、圧倒的に原作の方が面白いです。

シリーズの文庫本全てが上下巻構成なのが玉に瑕ですが、ボリュームがあるので仕方ないですね…。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『ウォッチメイカー』 ジェフリー・ディーヴァー

ウォッチメイカーと名乗る殺人者あらわる。その報がリンカーン・ライムのもとに届いた。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を十個、買っていることが判明した—被害者候補はあと八人いる!だが、いつ、誰が、どこで?尋問の天才キャサリン・ダンスとともに、ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。一方、刑事アメリア・サックスは別の事件を抱えていた。会計士が自殺を擬装して殺された—事件にはニューヨーク市警の腐敗警官が噛んでいるようだった。捜査を続けるアメリアの身に危険が迫る。二つの事件はどう交差するのか?史上最強の敵、登場!時計じかけのごとく緻密な犯罪計画をひっさげてライムとアメリアを翻弄するウォッチメイカー。熾烈な頭脳戦に勝利するのはライムか殺人者か?ドンデン返しに次ぐドンデン返し。

ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム7作目。『ボーン・コレクター』と話の繋がりがあるので、できれば『ボーン・コレクター』を先に読んでいたほうが楽しめます。

どんでん返しに定評があるシリーズですが、この作品はどんでん返しどころかとにかくどんでん返りまくりな、どこかアメリカっぽさを感じる1作。

この作品では主人公のライムよりも、新登場のもはや”歩く嘘発見器”、尋問のプロ「キャサリン・ダンス」の魅力がとんでもない。彼女が登場するシーンはどこも目が離せません。聞き込みや尋問のシーンは今までのどのミステリよりも面白かったです。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

【プロット完成度部門】のおすすめミステリ

『折れた竜骨』 米澤穂信

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。
自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン)」候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年――そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?
現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場!

魔法が存在する世界。十二世紀のロンドン近くにあるソロン諸島で、暗殺騎士の服従の魔法によって操られた何者かに主人公の父である領主が殺害される。

とにかくファンタジー+ミステリーの融合が魅力的な作品で、普通のミステリにはない数々の魅力的な伏線とその回収はお見事。

欠点としてはファンタジーな世界観故に読者がいまいち推理に集中できない点(魔法でどうにかなるんじゃないかと感じた時点で考えるのが面倒になってしまう)。人を選ぶのは間違いないです。

しかしこの世界観が好みなら絶対楽しめる一冊だと思います。私は他の記事でも書いたことがありますが中世ファンタジーの世界観が大好きなので、その世界で大好きなミステリが楽しめるのはとても贅沢な時間でした。

でも、なんでこのボリュームで上下巻に分けたんだろう…一冊にしてほしかったです。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『慟哭』 貫井徳郎

連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。

連続幼女誘拐事件が起き、事件を捜査する警察内部の人間模様を重厚に描き出しつつ、傍らでは深い悲しみを抱える男が救いを求めて宗教に染まっていくという2つのストーリーが交互に展開する。

とにかく雰囲気が重厚で、貫井徳郎さんの本はこれが初めてでしたが、これがデビュー作とかビビります…面白かった。

とにかく読後感が重く、ずっしりとした余韻が楽しめます。私はこの余韻が堪らなく好みでした。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『頼子のために』 法月綸太郎

「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自らは死を選ぶ――という手記を残していた。しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が。著者の転機となった記念碑的作品。長く心に残る傑作!

若干タイトルから古臭さが漂っていますがw、最初から最後まで一気に読ませる傑作です。とにかく法月さんは文章が上手くて読みやすいですねぇ。

物語は被害者の娘の父親の手記から始まります。娘が殺され、しかも妊娠していたことが発覚。警察は通り魔の犯行だと決めつけるが、父親は娘の腹の中の子供の父親を犯人だと決めつけ、その通りに男を殺し、自殺を図ってしまう。

あたかもそれで全てが解決したように見えますが、綸太郎は手記の中に違和感を感じて…という展開。

かなり人間関係が整理されていてわかりやすく、推理のしがいがあります。手がかりから推理するというより、人間関係から推理するタイプの作品なので、心理的な動きを追う楽しさが味わえました。

余韻もなかなか強烈で、しばらくはずっしり来るかも。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『異人たちの館』 折原一

8歳で児童文学賞を受賞し天才少年と呼ばれた小松原淳は、なぜ富士の樹海に消えたのか?母親の依頼で淳の伝記を書くことになった作家志望の島崎は、膨大な資料を読み、関係者に取材して淳の人生に迫るが、やがて不気味な“異人”の影が彼の周辺に出没するようになり…。

数多くの謎が絡み合う作り込まれたプロットと叙述トリックが融合した稀有な作品。

作家としてなかなか大成できない島崎潤一は、小松原妙子から「樹海で失踪したわが子・淳の伝記を書いて欲しい」とゴーストライターの仕事を依頼をされ、報酬の高さから引き受けることにする。

淳の伝記を完成させるために、島崎は淳の人生を生まれたときから辿っていくが、数多くの謎が浮上し、さらに島崎の周りでも不穏な動きが見え始める。

とにかく謎の数が他の作品の比ではなく、読んでいると何もかもがミスリードに見えてくるという珍しい感覚が味わえます。

この作品を読んでいると全てを疑いながら読むようになってくるので、最後に特大の衝撃を味わえるタイプではないと思うのですが、次々に伏線を回収していき謎が明らかになっていく構成は美しい。

600ページ近くあるのに一気に読ませる、凄い一冊だと思います。折原一は叙述トリックで有名な作家ですが、私はそれよりもプロットや話自体の面白さが折原さんの一番好きなところかもしれません。とにかく面白いのでおすすめ。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『七回死んだ男』 西澤保彦

同一人物が連続死! 恐るべき殺人の環。殺されるたび甦り、また殺される祖父を救おうと謎に挑む少年探偵。どうしても殺人が防げない!? 不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう、渕上零治郎老人――。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは! 時空の不条理を核にした、本格長編パズラー。

主人公が時間をループする力を持っているという設定が特異な作品。

祖父が殺される事件が発生し、ちょうどその日にループ「反復落とし穴」にハマってしまう。反復落とし穴にハマると、その日を9回繰り返すことができ、9回目の結果がその日の決定版として結果付けられる。

祖父が死なないように奮闘する主人公だが、行動を変えても毎回祖父が死んでしまう…!

ループ物が好きな方には堪らない作品ですね。ちょっとライトな文体が人を選びますが、斬新なトリックが楽しめます。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『13階段』 高野和明

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。

冤罪疑惑のある死刑囚を、刑務官と前科を背負った青年の2人で救おうとする話。

「死刑」というものについて非常に考えさせられる一作で、特に死刑執行の描写の生々しさが凄い。物語のほうも人間描写、メッセージ性とエンターテインメント性が両立されていて、しばらく頭から抜けないかも。これでデビュー作とか…。

ミステリーというよりはサスペンス寄りですが、Amazonやhontoなどの評価は他の名作と比べても非常に高い。面白さは保証付きの一冊です。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『幽霊刑事』 有栖川有栖

俺は神崎達也。職業、刑事。美人のフィアンセを残して無念にも射殺された……はずが幽霊に!? しかも犯人の上司が密室状況で何者かに殺されて……。いったい真犯人は誰なんだ! そして俺はどうなってしまうんだ! ミステリーとラブストーリーが融合、2001年度本格ミステリー・ベスト10入りの傑作。

主人公はなんと理由もわからず上司に殺されてしまった。しかし成仏できずに幽霊に!

殺された無念を晴らすために自分で犯人を見つけようと奔走する、新しいミステリ作品。

これがミステリというより一つの小説として非常に完成度が高いです。死んだ後に幽霊になってフィアンセのところに行っては悲しみに暮れる様子には感情移入してしまうこと間違いなし。有栖川先生は切なさを地の文で表現するのが本当に上手いですよね。

クライマックスの切なさは一級品。死ぬということをもう一度考えさせられましたね…。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『屍人荘の殺人』 今村昌弘 ※無料で聴ける!

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!! 究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?! 奇想と本格ミステリが見事に融合する選考委員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!

今村昌弘氏のデビュー作にして2018年のミステリーの各賞を3冠と総なめにした話題作。

これは確かに面白かった!あらすじを言うだけでもネタバレになるので上手くボカして紹介すると、新しい形のクローズドサークル物。序盤から意外な展開が畳み掛けてくるので、ワクワクして一気に読めちゃいます。そしてちょっと青春小説っぽいテイストも。

キャラクターが有栖川有栖先生の学生アリスシリーズに似た雰囲気を感じたので、あちらが好きなら読みやすいかも。

また、Amazonの音読サービスのaudibleにも対応しているので、無料体験でこの『屍人荘の殺人』を全編聴くことができちゃいます!未読の方は無料で楽しめるチャンスなので、ぜひ!

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『魔眼の匣の殺人』 今村昌弘

その日、“魔眼の匣”を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は、予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人に死が訪れ、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに、客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り四十八時間。二人の予言に支配された匣のなかで、生き残り謎を解き明かせるか?! 二十一世紀最高の大型新人による、待望のシリーズ第2弾。

屍人荘で一躍有名になった今村昌弘のシリーズ第二作。

屍人荘でも発揮されていた、舞台装置における新しい発想という視点ではこの人はやはり抜群に上手いですね。今作は「必ず的中する予言」という設定が事件に絡んでくることで、今までにない話運びになっています。

ただ、今作はテーマ上作品にオカルトの雰囲気がガッツリなので、ここは人を選ぶかもしれない。あの有名ドラマ「トリック」をちょっと思い出しました。あの雰囲気が好きなら抜群かも。

私はオカルトに全然興味が無いので読み進めるのがちょっとつらかったですが、ミステリとしての面白さは安定していると感じました。ただ前作よりはやはり少し落ちるかな…。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『大誘拐』 天藤真

三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。…時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる!第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。

身代金目的で誘拐したおばあちゃんがまさかのスーパーおばあちゃんだった…!

ミステリでありながら笑いながら読める傑作。とにかくおばあちゃんのポテンシャルが半端じゃないw

テンポもいいですし明るい気分になるミステリが読みたい方は是非。終盤はホロリと来る場面も。世間の評価も非常に高いです。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティー

その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作!

ミステリの知名度では世界一なんじゃないかと思う、『そして誰もいなくなった』。

私はミステリを読む前の小さい頃からポアロ、マープルの海外ドラマを見まくっていたので、クリスティ作品の中でもこの『そして誰もいなくなった』に触れたのは結構後の方でした。

初読時はポアロもマープルも出てこないことが寂しいと思いつつも、1日で一気に読み切ってその面白さに驚いたのを覚えています。

最近BBCで映像化されたものがかなり原作に忠実で面白かったので、この作品が好きな方は是非!

ちなみにアガサ・クリスティ作品はポアロもマープルも全て映像化されています。映像配信サービスではU-NEXT(1ヶ月無料)FODプレミアム(1ヶ月無料)でのみ配信されているので、ぜひ一ヶ月の無料体験で観てみて下さい!(どちらも未体験で1ヶ月無料体験できるのなら、三谷幸喜版のアクロイド殺し『黒井戸殺し』が観れるFODプレミアム(1ヶ月無料)のほうがおすすめです。)

また、この『そして誰もいなくなった』は、Amazonのオーデイオブック(音読)サービスAudible対応作品です!アガサ・クリスティ作品は他にも『オリエント急行殺人事件』や『ABC殺人事件』のような一級作品も聴けますので、こちらも1ヶ月無料体験でぜひ聴いてみてください!

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『グリーン家殺人事件』 ヴァン・ダイン

ニューヨークのどまんなかにとり残された前世紀の古邸グリーン家で、二人の娘が射たれるという惨劇がもちあがった。この事件をかわきりに、一家のみな殺しを企てる姿なき殺人者が跳梁する。神のごときファイロ・ヴァンス探偵にも、さすがに焦慮の色が加わった。一ダースにのぼる著者の作品中でも、一、二を争うといわれる超A級の名作。

上で紹介した『Yの悲劇』の基になった、超古典であるヴァン・ダインの作品で、館で次々起こる殺人事件の走りともいえる存在。

今の時代から考えると犯人は正直わかります。全く意外でもなく、本当にわかるんですが、全編通しての雰囲気がすっごくいいんですよ。おどろおどろしくて。Yの悲劇はこの点に関してはグリーン家を越えられなかったなと。

洋館、薄暗い、閉鎖的。このワードでグッと来たら是非手に取ってみてほしいです!

結末の衝撃:★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『湿地』 アーナルデュル・インドリダソン

レイキャヴィクの湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。侵入の形跡はなし。何者かが突発的に殺害し逃走したらしい。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、残されたメッセージが事件の様相を変えた。明らかになる被害者の過去。肺腑をえぐる真相。ガラスの鍵賞2年連続受賞の快挙を成し遂げ、CWAゴールドダガーを受賞した、北欧ミステリの巨人の話題作。

北欧ミステリらしい、重厚さ、残虐さ、そして考えさせられるテーマのすべてが揃った作品。

エーレンデュルシリーズの3作目らしいのですが、和訳ではシリーズ1作目になります。

事件は物凄くシンプルで、結末であっと驚くタイプの小説ではないんですが、とにかく全編通して暗く、やるせないのに、読後感はまるで暗闇に一筋の光が射したような独特の感覚が味わえます。

映画化もされているので観てみましたが、はっきりいってかなり微妙なので原作を読むのをおすすめします。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:B

『緑衣の女』 アーナルデュル・インドリダソン

男の子が住宅建設地で拾ったのは、人間の肋骨の一部だった。レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、通報を受けて現場に駆けつける。だが、その骨はどう見ても最近埋められたものではなさそうだった。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。サマーハウス関係者のものか。それとも軍の関係か。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て明らかに。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞をダブル受賞。世界中が戦慄し涙した、究極の北欧ミステリ登場。

『湿地』に続くアーナルデュル・インドリダソンの和訳第2作。

「床に座った子どもがしゃぶっているものを見て、若者はすぐにそれが人間の骨だとわかった」という1行目は、私にとって近年で最強のインパクトでした。

『湿地』でもやるせない悲劇を重厚に描き出していましたが、この2作目ではそれが更にパワーアップしています。今作はやるせないを越えてめっちゃ切ない。今まで読んだミステリでも最高かなというくらい切なかった。でもやっぱり読後感は、強烈な切なさの中に柔らかい暖かさがありました。

湿地同様、謎解きを楽しむタイプのミステリではありませんが、メッセージ性の強さに惹きつけられる、凄い作品だと思います。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『そしてミランダを殺す』 ピーター・スワンソン

空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の策略と攻防を描く傑作ミステリ!

う〜ん面白い!

空港のバーで出会った男女が「もう二度と会うことはないんだから、嘘はなしで真実だけを語り合いましょう」と会話を始めるプロローグから、もう雰囲気に夢中でした。こういう楽しみ方って海外ミステリならではだよなぁ…。

章ごとに語り手が変わっていくタイプのミステリはもうかなり数も多いので、当然叙述トリックに警戒しながら読み進めましたが、思った方向に進まないあたり流石高評価のミステリです。

文章は少し直訳気味かな?と感じましたがそれがいい味を出していて、最初から最後までページをめくる手が止まりませんでした。サスペンスとしても素晴らしい完成度だと思います。

この『そしてミランダを殺す』はすでに映画化も予定されているようなので、キャスティングも楽しみです。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『カササギ殺人事件』 アンソニー・ホロヴィッツ

現代ミステリの最高峰が贈る、すべてのミステリファンへの最高のプレゼント!
1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは……。その死は小さな村の人々へ徐々に波紋を広げていく。燃やされた肖像画、消えた毒薬、謎の訪問者、そして第二の死。病を抱えた名探偵アティカス・ピュントの推理は――。現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なオマージュ作品!

プロット完成度部門ってこの作品のためにあるんじゃないかってくらい、プロットの完成度がズバ抜けて高い作品がこの『カササギ殺人事件』。

とにかく作中作という形をとっているミステリの中では圧倒的な完成度かなと思います。見事という言葉が似合う。

アガサ・クリスティへの愛に満ちたオマージュ作品との売り文句通り、とにかくミステリファンがニヤリとできる部分が多いのも特徴。またあの牧歌的なミステリの世界に浸りたいと思った方だけでなく、現代のミステリらしい衝撃も充分に備えている名作です。

こんにちは!シュガーです。 やっと読みました。話題の海外ミステリ『カササギ殺人事件』。 これ、本当にすごい作品でした。読了後の高揚した気...

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

特捜部Qシリーズ

2018年8月現在、3作目まで映画化されているデンマークのミステリ。

登場人物のキャラクターがかなり立っているのに加えて、北欧ミステリらしく犯罪がえげつないのが特徴で、事件の動機や背景が独特でかなり面白いです。

最近流行ったところでいえば、「その女アレックス」のカミーユ警部のシリーズが気に入った方ならまず間違いなく楽しめるのではないかと。

原作は非常に評価が高いですが、まずは雰囲気を掴むために映画を観てみるのをおすすめ。

特捜部Q-檻の中の女-(アマゾンプライム・ビデオ)

フロスト警部シリーズ

各種ミステリランキングで必ずといっていいほど上位に入るフロスト警部シリーズ。

そのことから超王道のミステリと思っている人も多そうですが、実はちょっと毛色が違います。論理的な謎解きや、どんでん返しを楽しむタイプの作品ではありません。

キャラクターと、ストーリーテリングの見事さを楽しむ作品です。

まず、キャラクターとそれを取り巻く人間関係が超面白い。

まず主人公のジャック・フロストは「英国のコロンボ」と呼ばれることもありますが、似ているのは服装のヨレヨレ具合だけ。それ以外は大体フロストのほうが酷いと思ってくれて大丈夫ですw

フロストは女性を見れば胸と尻の話ばかりで、思ったことはすぐに口にする。直属の上司には相当嫌われていていつもキレられるが、フロストはゴリ押し。超巻き込まれ体質で、物語中の大体の不幸はこのフロスト警部の元に集まってしまい、そのせいでフロストの部下は朝の4時まで帰れない。笑えるw

ミステリとしての特徴は、1作で起こる事件の数がとにかく多いこと。5,6個は軽く起きます。

そしてそれらはそれぞれが全く関係がありそうもない事件ばかり。その全てを解決するためにフロストが奔走することになります。

本も分厚くて読むのも大変ですが、1冊読み終わるとすぐに次が読みたくなってしまう、魔力のあるシリーズだと思いますね~。

順番は、

  1. クリスマスのフロスト
  2. フロスト日和
  3. 夜のフロスト
  4. フロスト気質
  5. 冬のフロスト
  6. フロスト始末

です!

【本格ミステリ(謎解き)部門】のおすすめミステリ

『獄門島』 横溝正史

獄門島――江戸三百年を通じて流刑の地とされてきたこの島へ金田一耕助が渡ったのは、復員船の中で死んだ戦友、鬼頭千万太に遺言を託されたためであった。『三人の妹たちが殺される……おれの代わりに獄門島へ行ってくれ……』瀬戸内海に浮かぶ小島で網元として君臨する鬼頭家を訪れた金田一は、美しいが、どこか尋常でない三姉妹に会った。だが、その後、遺言通り悪夢のような連続殺人事件が! トリックを象徴する芭蕉の俳句。後世の推理作家に多大な影響を与え、今なお燦然と輝く、ミステリーの金字塔! !

大抵の国内ミステリランキングで最上位に位置する、横溝正史の超有名作品。

映像化作品の影響もあり、一般人の知名度では『犬神家の一族』のほうが上だと思いますが、本ではこちらのほうが評価されています。

「いつまで昔の作品を最高の評価にしてるつもりだ?」と思って読んでみるとこれが驚きの面白さ。文体が古いですが、面白さは全く色あせていません。それどころかその文体ゆえに他の作品にはないおどろおどろしさが見事に醸し出されています。

海外古典と比べても今でも読みやすく、事件の真相も最近の作品にはない意外なもの。ちなみに横溝正史は、かの『Yの悲劇』を参考にしてこの作品を書いたのだとか。『Y』を知っていれば納得いく部分が複数ありますよね。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『孤島パズル』 有栖川有栖

紅一点会員のマリアが提供した“余りに推理研的な”夏休み―旅費稼ぎのバイトに憂き身をやつし、江神部長以下三名、宝捜しパズルに挑むべく赴いた南海の孤島。バカンスに集う男女、わけありの三年前、連絡船の再来は五日後。第一夜は平穏裏に更けるが、折しも嵐の第二夜、漠とした不安感は唐突に痛ましい現実へと形を変える。晨星落々、青空に陽光が戻っても心は晴れない…。

有栖川有栖の学生アリスシリーズ第二作。

有栖川先生の作品では下に挙げる学生アリスシリーズ第三作目の『双頭の悪魔』が非常に高い評価を受けていますが、私が一番好きなのはこの『孤島パズル』。

一言で言ってめちゃくちゃ面白いです。舞台の孤島から漂う雰囲気、そこで起こる殺人事件、宝を巡っての宝の地図の謎解き、テンポのいい展開、甘酸っぱい青春、人間の悲哀、論理から組み立てられる鮮やかな謎解き。これら全てが非常に密度濃くこの一作に詰まってます。

それでいて読者への挑戦付きで犯人当てにも挑めるとか豪華すぎです。結末の衝撃はそこまで大きめではありませんが、犯人当てという面から考えてここもプラス評価です。理想的な難易度といえます。

何よりミステリとしてでなく、単純にこの物語が心に残っているんですよね。学生アリスシリーズは全て「物語」としての完成度が高いから凄いです。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『双頭の悪魔』 有栖川有栖

四国山中に孤立する芸術家の村へ行ったまま戻らないマリア。英都大学推理研の一行は大雨のなか村への潜入を図るが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。川の両側に分断された江神・マリアと、望月・織田・アリス――双方が殺人事件に巻き込まれ、各各の真相究明が始まる。読者への挑戦が三度添えられた、犯人当ての限界に挑む大作。

『月光ゲーム』『孤島パズル』に続く、有栖川有栖の学生アリスシリーズ第3作目にして約700ページに渡る超大作。

本格ミステリの名作として名高く、各種ランキングへもよく上位にランクインされている印象です。なんと読者への挑戦が3回も挟まれる、超豪華な作品でもあります。

3作目の今作から読み始めてもいいことはいいんですが、できれば最低でも前作の『孤島パズル』くらいは読んだほうがいいと思います。というか私は孤島パズルのほうが好きなので余計にあちらから読んでほしいですw

感想としては、まさに本格、王道のフーダニット(犯人当て)小説。論理的に謎解きがしたい、エラリィ・クイーンの国名シリーズのようなミステリが好きな方には堪らない一作ではないかと。

本格が読みたいけど古典はちょっと…という方にはノータイムでこれをおすすめ。複雑ながら難しすぎない絶妙な難易度で謎解きを楽しめます。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『女王国の城』 有栖川有栖

舞台は、急成長の途上にある宗教団体“人類協会”の聖地、神倉。大学に顔を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、四人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。“城”と呼ばれる総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し…。江神シリーズ待望の書き下ろし第四長編。

上で紹介した『双頭の悪魔』に続く、学生アリスシリーズ第四作にして、第八回本格ミステリ大賞受賞作。このシリーズ、名作しかない。笑

双頭の悪魔も大ボリュームですが、この女王国の城はさらにそれを上回るボリュームで文庫では上下巻になってます。(ですが今回は読者への挑戦は1回のみです)

ですが相変わらず推理小説研究会のメンバーのやり取りが楽しく、このボリュームでありながら読むのにそんなに時間はかかりませんでした。このシリーズが好きなら長いのもご褒美。

個人的に評価自体は上2冊に劣りますが、上の2冊が気に入ったら間違いなく楽しめる一冊です。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『体育館の殺人』 青崎有吾 ※無料で読める,”聴ける”!!

風ヶ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかる。卓球部員・柚乃は、部長を救うために、学内一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。アニメオタクの駄目人間に―。“平成のエラリー・クイーン”が、大幅改稿で読者に贈る、第22回鮎川哲也賞受賞作。

まず、これを見たあなたが「本格ミステリ(論理的な謎解き物)」が好きで、「タイトルと表紙の軽さで読むのを後回しにしようとしている」のなら、騙されたと思って絶対に今すぐ買って読むべき一冊。

まさに私が上の通りで読むのを後回しにしていたんですが、これは本当に面白いです。この見た目で鮎川哲也賞受賞作ですからね。まさに見た目は子供、中身は大人!(コナンか)

クイーン作品や有栖川作品が好きなら間違いない。読者への挑戦もあります!

男子トイレに放置された1つの傘という手がかりをこれでもかと使い倒し、それだけで数多くの真実を論理的に導く筋立ては見事の一言。このシリーズを追いかけようと思わせてくれるには充分すぎるクオリティでした。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:S

なんとこの『体育館の殺人』、AmazonのKindleUnlimitedの対象作品になってます。KindleUnlimitedは月額980円で特定の電子書籍が読み放題のサービスですが、初回は30日無料で体験できます。なのでコレ、無料で読めちゃいます。オトクすぎる!!

また、Amazonの音読サービスのaudibleにも対応しているので、無料体験でこの『体育館の殺人』を”聴く”こともできちゃいます!

『水族館の殺人』 青崎有吾

夏休み最中の八月四日,向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は,取材で市内の穴場スポットである,丸美水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると,B棟の巨大水槽の前で驚愕のシーンを目撃。な,なんとサメが飼育員と思われる男性に喰いついている! 駆けつけた警察が関係者に事情聴取していくと,容疑者は11人にもおよぶことに。しかもそれぞれに強固なアリバイが……。袴田刑事は,仕方なく妹の柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン”が,今度はアリバイ崩しに挑戦。

体育館の殺人に続く、裏染天馬シリーズ2作目。

こちらはシリーズ化ということもあって、本格ミステリでありながら、各キャラクターが徐々に掘り下げられていく青春小説っぽい雰囲気もパワーアップ。ここは好みを選ぶかもしれないですが、『体育館』で各キャラクターを好きになれたなら間違いなく楽しめます。

謎解きは相変わらずの論理と消去法の鮮やかさが光りますが、難易度は体育館よりだいぶ上がった印象。伏線がかなりさり気ないので気づきにくくなってます。

個人的には体育館のほうが好きでしたが、こちらも良作なので是非。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『図書館の殺人』 青崎有吾

期末試験中のどこか落ち着かない、ざわついた雰囲気の風ヶ丘高校。試験勉強をしようと学校最寄りの風ヶ丘図書館に向かった袴田柚乃は、殺人事件捜査のアドバイザーとして、警察と一緒にいる裏染天馬と出会う。男子大学生が閉館後の図書館内で殺害された事件らしいけど、試験中にこんなことをしていていいの? 閉館後に、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺された被害者は、なんとなんと、二つの奇妙なダイイングメッセージを残していた……。“若き平成のエラリー・クイーン”が満を持して贈る第三長編。
“館”の舞台は図書館、そしてダイイングメッセージもの!

裏染天馬シリーズ4作目。(3作目は短編集『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』)

このシリーズは本当に安定した面白さを保っていて凄い。「最近のミステリは知らない」という人には是非手を伸ばして欲しいです。

4作目まで来ると、もうキャラクターにもだいぶ親しみが湧いてきて、期末試験でのあたふたもだいぶ楽しめて読めますね。裏染の過去にも徐々に近づいていきます。ほんの少しずつではありますが。

今作は長編過去2作に比べると読み終わりに納得いかない部分が出てきてしまう感はありますが、それもあくまで事件を論理的に解く本格ミステリ特有のもの。推理パートの面白さは健在です。

※9/11追記:文庫版発売されました!下のリンクも文庫版に変えてあります。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『眩暈』 島田荘司

切断された男女が合成され、両性具有者となって甦る。窓の外には荒涼たる世界の終焉の光景が広がっているばかりだ。『占星術殺人事件』を愛読する青年が書き残した戦慄の日記が示すものは何か。醜悪な現実世界に奇想と驚天動地のトリックの矢を放つ。ミステリーの新たな飛翔を決定づけた傑作。

占星術殺人事件同様、奇妙な手記から始まる一作。この作品は「手記物」が好きなら読まない手はありませんよ。

森に恐竜が闊歩し、太陽が消えて死者が立ち上がるというような記述を、全て事実を書いているに過ぎないと言い切る御手洗。この時点でもう結末が気になって仕方ないです。

本の分厚さに眩暈がするかもしれませんがw、引き込まれるので想像以上に一気に読めると思います。おすすめ。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『アリス殺し』 小林泰三

栗栖川亜理はここ最近、不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。ある日、ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後、亜理が大学に行くと、玉子という綽名の博士研究員が校舎の屋上から転落して死亡していた。グリフォンが生牡蠣を喉に詰まらせて窒息死した夢の後には、牡蠣を食べた教授が急死する。夢の世界の死と現実の死は繁がっているらしい。不思議の国で事件を調べる三月兎と帽子屋によって容疑者に名指しされたアリス。亜理は同じ夢を見ているとわかった同学年の井森とともに冤罪を晴らすため真犯人捜しに奔走するが……邪悪なメルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ。

メルヘン×ミステリの融合。

かなり特徴的な会話が繰り広げられるのと、キャラクターが脳内で想像できないので不思議の国のアリスは知っておいたほうがいいですね。(私も調べながら読みました)

大胆に伏線を張っていたり、それが不思議の国のアリスに関連するようなものだったりでなかなか変わった面白さがある作品ですが、何も知らなくても終盤は充分楽しめますし驚けます。

あとこんな童話のような雰囲気なのにかなり描写がグロテスクでエグめ。これが苦手だと辛いかも。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『Xの悲劇』 エラリィ・クイーン

ニューヨークの電車の中で起きた奇怪な殺人事件。おそるべきニコチン毒をぬったコルク玉という新手の凶器が使われたのだ。この密室犯罪の容疑者は大勢いるが、聾者の探偵、かつての名優ドルリー・レーンの捜査は、着々とあざやかに進められる。“読者よ、すべての手がかりは与えられた。犯人は誰か?”と有名な挑戦をする、本格中の本格。

私に海外古典ミステリの面白さを教えてくれた一冊。

このXの悲劇を最初に読んだのは10年以上前ですが、未だに映画のように頭のなかに情景が浮かんできます。

大雨の中、路面電車の中で起こる殺人事件、そして深夜の埠頭で起こる殺人事件…。事件の面白さ、犯人の意外性はもちろん、雰囲気を楽しみたい方に超おすすめしたい一作。この点では私の中で不動の1位です。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:S

『Yの悲劇』 エラリィ・クイーン

行方不明をつたえられた富豪ヨーク・ハッターの死体がニューヨークの湾口に揚がった。死因は毒物死で、その後、病毒遺伝の一族のあいだに、目をおおう惨劇がくり返される。名探偵レーンの推理では、あり得ない人物が犯人なのだが……。ロス名義で発表した四部作の中でも、周到な伏線と、明晰な解明の論理は読者を魅了する古典的名作。

バーナビー・ロス名義で書かれたドルリィ・レーン四部作の二作目で、海外ミステリランキングで常に最上位に位置するエラリイ・クイーンの超有名作品。

XとYは本当に同じくらい好きで、どちらか選べと言われても相当迷いますw

余談ですが、バーナビー・ロス=エラリイ・クイーンだとわかった時の世間の騒ぎ方ってどんな感じだったのか凄く気になりますw こういうの今の時代だったらインターネットもあるし凄く楽しそう。

このYの悲劇はXの悲劇とは違い一転して「館もの」。毒々しい雰囲気が全編に漂っていて、暗い雰囲気が好きならたまらないかも。初めて読んだときは言い様のない恐怖で夜眠れなくなったのを覚えています。

それにしても、XもYも本当に今読んでもめちゃくちゃ面白くて一気に読めるのが凄い。古典の翻訳とは思えませんね…。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『ギリシャ棺の秘密』 エラリー・クイーン

盲目の大富豪・ハルキス氏の死が全てのはじまりだった―。葬儀は厳かに進行し、遺体は墓地の地下埋葬室に安置された。だが直後、壁金庫から氏の遺言状が消えていることが発覚する。警察の捜索の甲斐なく、手掛かりさえも見つからない中、大学を卒業してまもないエラリーは、棺を掘り返すよう提案する。しかし、そこから出たのは第二の死体で…。天才的犯人との息づまる頭脳戦!最高傑作の誉れ高い“国名シリーズ”第4弾。

エラリー・クイーンの国名シリーズの最高傑作と名高い4作目。

ミステリファンならおそらく知っているであろう「後期クイーン的問題」の発端とも言われる作品で、「探偵が、手がかりを偽の手がかりではないと証明することができるか」という角度から見ても面白い作品です。

相当なボリュームで読むのには苦労しますが、それだけにエラリーの切れ味鋭い推理を贅沢に楽しめる一作です。頭を使いたい人に。

ちなみに、多くの出版社から文庫版が出ていますがイチオシは角川文庫版。読みやすさ、解説の濃密さともに圧倒的です。

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『エジプト十字架の秘密』 エラリー・クイーン

ウェスト・ヴァージニアの田舎町、アロヨで不可解な“T”だらけの殺人事件が発生。死体はT字路にあるT字形の標識に磔にされ、その頭部は切り落とされていた。さらに被害者の家の扉には、血塗られた不気味なTの文字が―。エラリーは単身捜査をするが、真相は分からずじまい。だが半年後、再び奇怪な“T”にみちた殺人事件の知らせが届き…。サスペンスあふれる展開と緻密な推理で人気を誇る“国名シリーズ”第5弾。

エラリー・クイーンの本格推理「国名シリーズ」第5弾。(これだけ読んでも大丈夫!)

田舎町で校長が首無しの磔死体で見つかるところから始まる凄惨な連続殺人。

この作品はとにかく中盤と終盤で聞けるエラリーの推理が鮮やか。本当にエラリー・クイーンはレベルが高いなぁ…。現場の図とかがあればもっといいんですが、流石にしょうがないか。笑

とにかく分厚く、翻訳ものなので読みにくくて私も挫折したことがあるのですが、読むなら絶対に角川文庫の新訳版をおすすめ。本当にこだわって翻訳されていて、読みやすさもピカイチです。

誰が犯人かはしっかり考えれば確信を持って当てられるレベルなので、頑張って挑んでみてはいかがでしょう!

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:B

『五匹の子豚』 アガサ・クリスティー

16年前、高名な画家だった父を毒殺した容疑で裁判にかけられ、獄中で亡くなった母。でも母は無実だったのです……娘の依頼に心を動かされたポアロは、事件の再調査に着手する。当時の関係者の証言を丹念に集める調査の末に、ポアロが探り当てる事件の真相とは?

古典ミステリの女王アガサ・クリスティーには有名な作品が数多くありますが、現代の今読んでも文句なしに面白いといえる作品はどれだけあるでしょうか。

もちろんどの有名作品も面白いんですが、全く色あせない面白さがあるという点ではこの『五匹の子豚』は絶対に外せません。

この作品では過去の殺人の再調査をポアロが依頼されるのですが、その時事件に関わった警視や弁護士などに話を聴くことに加えて、現場にいた5人に過去のことを思い出して手記を書いてもらうという方法を取ります。

5人それぞれから見た事件はそれぞれ違った角度から物を見ていますが、ポアロがその手記を分析して犯人を特定する様は見事。読者も全ての情報を与えられて結末に挑むことになるので、謎解き小説としても一級品の出来です。

意外と知られていない名作ですが、完成度の高さが凄いので、ぜひ。

『五匹の子豚』のドラマ版は映像配信サービスではU-NEXT(1ヶ月無料)FODプレミアム(1ヶ月無料)でのみ配信されているので、ぜひ一ヶ月の無料体験で観てみて下さい!(どちらも未体験で1ヶ月無料体験できるのなら、三谷幸喜版のアクロイド殺し『黒井戸殺し』が観れるFODプレミアム(1ヶ月無料)のほうがおすすめです。)

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『葬儀を終えて』 アガサ・クリスティー

リチャードは殺されたんじゃなかったの―アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、その遺言公開の席上、末の妹のコーラが無邪気に口にした言葉。すべてはその一言がきっかけだったのか?翌日、コーラが惨殺死体で発見される。要請を受けて事件解決に乗り出したポアロが、一族の葛藤の中に見たものとは。

うろ覚えですが、小さい頃にアガサ・クリスティが自分で決めたベスト作品群の中で、有名タイトルに混じってこの『葬儀を終えて』が入っており、この作品を知らなかった私は早速読んでその面白さに驚いたのを今でも覚えています。

とにかく掴みがよくて、一家の主リチャードが死ぬ→遺族が集まって遺言公開→誰もが普通の穏やかな病死だと思っていたのに末妹コーラが「リチャードは殺されたんでしょう?」と言い騒然→コーラが惨殺される

という流れで一気に引き込まれます。

こんなに面白いミス・ディレクション作品ってなかなかないと思います。結末は本当に見事。

巻末の解説で折原一さんもクリスティベスト1に挙げていたのをこの記事執筆中に気付き、ちょっと嬉しくなりましたw

ちなみに、海外ドラマ版の『葬儀を終えて』は映像配信サービスではU-NEXT(1ヶ月無料)FODプレミアム(1ヶ月無料)でのみ配信されているので、ぜひ一ヶ月の無料体験で観てみて下さい!(どちらも未体験で1ヶ月無料体験できるのなら、三谷幸喜版のアクロイド殺し『黒井戸殺し』が観れるFODプレミアム(1ヶ月無料)のほうがおすすめです。)

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『メインテーマは殺人』 アンソニー・ホロヴィッツ

自らの葬儀の手配をした当日、資産家の婦人が絞殺される。彼女は殺されることを知っていたのか? 作家のわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、テレビ・ドラマの脚本執筆で知り合った元刑事のホーソーンから連絡を受ける。この奇妙な事件を捜査する自分を描かないかというのだ……。かくしてわたしは、きわめて有能だが偏屈な男と行動をともにすることに……。7冠制覇『カササギ殺人事件』に続く、ミステリの面白さ全開の傑作登場!

『カササギ殺人事件』のあまりの面白さから即買いしてしまったアンソニー・ホロヴィッツの第二作。

今回は語り手としてホロヴィッツ本人が登場し、元刑事のホーソーンと、さながらホームズとワトソンのようなコンビで殺人事件に挑む。

『カササギ殺人事件』はインパクト絶大でエンターテイメント性の高い作品でしたが、今作はかなり渋い!!まさに本格ミステリといった感じで、驚くためのミステリではなく伏線と構成を楽しむものになっています。

中盤までは少し普通すぎて物足りないかな…?と思ったんですが、終わってみれば全くそんなことはなく、カササギ同様こちらもかなり完成度が高いと感じました。

ホーソーンのシリーズは10~11作を予定しているとのこと。この先もかなり楽しみです!

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

【トリック部門】のおすすめミステリ

『占星術殺人事件』 島田荘司

密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。事件から四十数年、未だ解かれていない猟奇殺人のトリックとは!? 名探偵・御手洗潔を生んだ衝撃のデビュー作、完全版! 二〇一一年十一月刊行の週刊文春臨時増刊「東西ミステリーベスト一〇〇」では、日本部門第三位選出。

島田荘司のデビュー作にして非常に高評価を得ている超有名な本格ミステリ。とにかくこの作品、全編から放たれる名作オーラが凄まじい。

島田荘司作品に共通して言えることですが、とにかく事件のインパクトが強く、掴みが抜群にいい。事件の概要が語られた後、どのように解決するのかが気になって仕方なくなるはず。

トリックは某パクリによってかなり有名になってしまっていますが、私がミステリのトリックと言われて最初に思い出すのは常にこの作品。これからもこれを超えるインパクトはないかもしれないなぁ。

御手洗潔のキャラクターに魅力がありすぎて、一気にファンになったのを今でも覚えています。御手洗に惹かれた方は、この後に斜め屋敷の犯罪→異邦の騎士と一気に読んでしまいましょう!

読者への挑戦状もあるので、謎解きに挑みたいときにも!

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:S

『時計館の殺人』 綾辻行人

鎌倉の外れに建つ謎の館、時計館。角島(つのじま)・十角館の惨劇を知る江南孝明(かわみなみたかあき)は、オカルト雑誌の“取材班”の一員としてこの館を訪れる。館に棲むという少女の亡霊と接触した交霊会の夜、忽然と姿を消す美貌の霊能者。閉ざされた館内ではそして、恐るべき殺人劇の幕が上がる!

新本格の代表作家である綾辻行人先生の「館シリーズ」の中の1作。

正直な感想を述べると、全ミステリの中で最も欠点が見当たらない作品だと思ってます。本当に全てが高水準で、完成度が圧倒的に高いです。知名度では『十角館の殺人』が上ですが、私が1番好きなのはこの時計館。同じような方も多いのでは?

ミステリーには意外なトリックがつきものですが、頭の中の映像が一気にブワっと衝撃を受けたのはこの作品が初めて。さらにそのトリックがしっかり物語と関係しているところが他の作品にない素晴らしさだと思います。

十角館の殺人から登場している馴染みのキャラクターがいるのでできれば十角館から読んだほうがいいですが、これ単品でも十分読めるようにできています!

被害者側の視点から殺人が描かれるのですが、これが臨場感抜群で本当に怖いです。ホラーとしても一級品。

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『奇想、天を動かす』 島田荘司

浅草で浮浪者風の老人が、消費税12円を請求されたことに腹を立て、店の主婦をナイフで刺殺した。だが老人は氏名すら名乗らず完全黙秘を続けている。この裏には何かがある。警視庁捜査一課の吉敷竹史は、懸命な捜査の結果、ついに過去数十年に及ぶ巨大な犯罪の構図を突き止めた。―壮大なトリックを駆使し、本格推理と社会派推理とを見事に融合させた傑作。

本格と社会派を融合させた傑作と言われている一作。こちらは御手洗シリーズと双璧をなす吉敷シリーズです。

電車の中でハーモニカを吹く浮浪者のような老人が、乾物屋で消費税を払わずに商品を購入。店の女主人が追いかけたところ、なんと無表情のまま刺殺してしまう。

雪の降る中走る電車のトイレで死体が消失したという摩訶不思議な事件のエピソードも挟まれ、全く関連のわからない話が噛み合っていく面白さは流石。

社会派ミステリの一面も併せ持っているので、読後の余韻が凄いです。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『容疑者Xの献身』 東野圭吾

 天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘の美里と暮らす隣人の花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。 ある日、靖子の前夫・富樫が母娘の居場所を突き止めて訪ねてきた。金を無心し、暴力をふるう富樫を、靖子と美里は殺してしまう。 呆然とする二人を救うために、石神は完全犯罪を企てる。 だが皮肉にも、石神と帝都大学の同期であり、親友である物理学者の湯川学がその謎に挑むことになる。

ミステリの各賞取りまくりの超有名作品。映画化もされましたね。

正直に言うと、ミステリのトリックよりもその人間描写のほうに余韻がある作品ですが、トリック自体も面白いです。探偵が天才なのはよくある話ですが、犯人も天才というのはやはり魅力的ですよね。

映画の方の出来もなかなかにいいので、そちらを鑑賞するのも手。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『すべてがFになる』 森博嗣

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。

ドラマ化されて知名度も上昇した西之園萌絵+犀川創平のコンビ。

近未来的な雰囲気のハイテク研究所で、完全に隔離された真賀田四季博士の部屋から運搬用ロボットに載せられた手足なしの死体が出現する。

博士しかいないはずの部屋でどうして殺人が起きたのか。全ての部屋の開閉のデータが記録される施設でどうやって犯人は部屋に入ったのかという密室トリックが肝。

私は完全に文系の人間なので、理系ミステリと呼ばれるこの作品の本当の面白さには気づけていないかも?w 理系の方は是非!

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『斜め屋敷の犯罪』 島田荘司

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館――通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか!?

島田荘司の御手洗潔シリーズ2作目。

この作品はとにかくトリックが強烈の一言。こんなにポカーンとなったミステリもなかなかないですw

トリックの派手さは人を選びますが、占星術殺人事件を読んで御手洗のキャラが気に入っていれば間違いなく楽しく読めると思います。

館内の人間模様もなかなかおもしろくて、火花を散らす英子とクミの掛け合いが面白いw

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

【一気読み部門】のおすすめミステリ

『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

恋愛小説と見せかけて…という作品。

どんでん返しと紹介されることが多いですが、オチに関しては正直超簡単な部類。登場人物が少なく物語の幅が狭いため、1つ違和感が浮上すると考えられるオチがそう多くなく、何かしら予想してしまうと多分当たると思います。

なので、読了後対して面白くなかったと感じる方は私含め多いと思います。

しかし!この本に関しては絶対に二度読みしたほうがいいです。伏線を洗い直すと結構ゾクっときます。実はスルメ本なんですこれ。「最後から2行目の衝撃!」という煽り文句は的外れで、これはじわじわ系です。

ボリュームが少なく数時間で読める点も個人的にはすごく良かったです。恋愛小説好きなら是非。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『キングを探せ』 法月綸太郎

繁華街のカラオケボックスに集う四人の男。めいめいに殺意を抱えた彼らの、今日は結団式だった。目的は一つ、動機から手繰られないようターゲットを取り換えること。トランプのカードが、誰が誰を殺るか定めていく。四重交換殺人を企む犯人たちと、法月警視&綸太郎コンビの、熾烈な頭脳戦をご堪能あれ!

2013年の本格ミステリベスト10の第一位に輝いた作品。

4人の男が交換殺人を計画し、それぞれのターゲットと殺す順番をトランプのカードで決める。容疑者が持っていたこのトランプのカードを手がかりに、A、J、Qに続く「K」を探す。

この作品の感想としてはとにかく構成が綺麗で完成度が高いなと。ボリュームも程よいので一気に読めちゃいます。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:B

『仮面山荘殺人事件』 東野圭吾

八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。

高之の婚約者・森崎朋美が不可解な状況の事故で死んだ。

森崎家は毎年夏に別荘で避暑を楽しむイベントが恒例になっていて、高之も参加することに。

しかし8人が集まったその別荘に逃亡中の銀行強盗が侵入し、全員が捕らわれてしまう。

なんとか脱出を試みる8人だが、そんな中なんと1人が殺される殺人事件が起きてしまい、それには森崎朋美の事故が関係しているとしか思えない状況だった…!

というとにかく掴みがよくてガンガン読ませる作品。舞台映画みたい。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『ある閉ざされた雪の山荘で』

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!

雪の山荘に7人の劇団員が集められた。

そこに届いた劇団長からの手紙で、クローズドサークルの連続殺人をテーマにした芝居を作り、自らで演じることを要求される。

やがて1人、1人と消えていく劇団員と、そこに残された殺害方法の紙。次第に彼ら自身がこれは芝居ではなく本当の殺人ではないかと疑い始める。

テンポがかなりいい作品なので、1日で読み切ってしまうことができます。ミステリとしてはそこまで衝撃があるタイプの作品ではないですが、読後感がいいのが特徴で、個人的には東野圭吾作品の中でもかなり好きな作品です。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『レイクサイド』 東野圭吾

妻は言った。「あたしが殺したのよ」—湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な影が。真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。

東野圭吾作品の中ではそんなに評価が高い方ではないと思いますが、個人的に結構好きな一作です。

舞台は湖畔の別荘。4組の親子が中学校のお受験のため、子供の勉強合宿に来ていた。

そこで語り手である俊介の愛人が死体で発見され、俊介の妻が「あたしが殺したのよ」と自白する。

子供の受験のため、将来のために事件を隠蔽するために手を組む親たち…という、親の異常さが垣間見えるダークな作品です。

暗い雰囲気が好きならおすすめ。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

映画化もされています。私は映画を先に観ました。

『告白』 湊かなえ

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。

衝撃のデビュー作といえばやはりこの作品が思いつきますね。

異常なまでに先が気になってページを捲る手が止まらないそのリーダビリティ、どんでん返し、強烈な読後感とミステリに求めるものが全て揃った作品。この頃から毒々しさ充分でしたね。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『母性』 湊かなえ

女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。…遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも―。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。

イヤミスの女王と呼ばれる湊かなえ作品の中でも、個人的にトップクラスにげんなりくる作品がこれ。

もうタイトルの時点で、正しい母性じゃなく歪んだ母性の話に間違いないなと察することができますよねw

実際それは当たっていてなかなかに気持ち悪いんですが、異常なまでのリーダビリティで2時間ちょっとで読了してしまいました。さすが。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『ユリゴコロ』 沼田まほかる

ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのか―。

自分の母親は殺人に取り憑かれていた…?という衝撃的な切り口で始まる作品。

とにかく殺しの手記がその心情の生々しさからとにかく一気に読ませます。先が気になって仕方ない。映画化もされているんですが、吉高由里子ほんとぴったりですね。ほかは考えられないってくらいハマってる気がする。

個人的に一番どんでん返しだったのが、作家の沼田まほかるさんが1948年生まれだったということ。作品の雰囲気からしてめっちゃ若い人だと思った…w

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『倒錯の死角 201号室の女』 折原一

覗く男と覗かれる女究極の折原マジック
ベットの上にのびた恍惚の白い脚──男の妄想が惨劇を呼ぶ!

ベッドの上に白くすらりとした脚が見える。向かいのアパートの201号室に目が釘付けになった。怪しい欲望がどんよりと体を駆けめぐる。あちら側からは見えないはずだ──屋根裏部屋から覗く男と覗かれる女の妄想がエスカレートし、やがて悪夢のような惨劇が。折原ワールドの原点ともいうべき傑作長編!

上に『異人たちの館』『倒錯のロンド』で紹介した折原一の作品。

覗きが癖になっている翻訳家の男と、覗かれる若いOL…。しかしその女の首にはストッキングが…!というどこかヒッチコックの裏窓を連想させる始まり方。

なんと文庫でありながら最後の謎は袋とじの中。こんなの見たことありませんでしたw

異人たちの館、倒錯のロンド同様、一気に読ませる展開には脱帽です。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『ロートレック荘事件』 筒井康隆

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。

ロートレックの作品に彩られた洋館で、3人の美女が次々と殺される。

1990年に発表され当時斬新だったこともあり謎解きの解説が若干くどいですが、このおかげでどこに伏線を張ってあったかがわかりやすいので嬉しい一面も。

上品な舞台に似合う情緒的な結末も好みです。200ページという薄さなので1日で読める点も嬉しい。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『ルビンの壺が割れた』 宿野かほる

「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」――送信した相手は、かつて恋人だった女性。SNSでの邂逅から始まったぎこちないやりとりは、徐々に変容を見せ始め……。ジェットコースターのように先の読めない展開、その先に待ち受ける驚愕のラスト。覆面作家によるデビュー作にして、話題沸騰の超問題作!

一気読み部門とはこの作品のためにある言葉かもしれない。

新潮社がこの作品につけるコピーを募集するために全文無料で公開したという経緯がある衝撃作。

SNSでの会話のみで繰り広げられており、本当に数時間で読み切ってしまいます。賛否両論の話題作ですが、気になる方は是非。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★

おすすめランク:C

【サスペンス部門】のおすすめミステリ

『異邦の騎士』 島田荘司

失われた過去の記憶が浮かびあがり男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活にしのび寄る新たな魔の手。名探偵御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリ『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆修整した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。

ミステリというよりはサスペンスの要素が強いですが、個人的にかなり好きな作品です。探偵は最近映像化で少し知名度が上がった気がする御手洗潔。

この作品は『占星術殺人事件』(+斜め屋敷の殺人)を先に読むことが必須なので、必ず占星術を最初に読んで下さいね。

結構ホロリと来るのが特徴。読後感が素晴らしいです。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:S

『幻の女』 ウイリアム・アイリッシュ

妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった!迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか?

私の中でサスペンス小説(主人公が追い詰められていく系)の頂点に立っている作品。

さて、この作品の見どころはなんといっても主人公の無罪を証明するために事件の夜を共にした「幻の女」を探すそのスピード感。行く先行く先で目撃者が謎の死を遂げてしまい、証拠が手からすり抜けていくもどかしさが、ページをめくる手を止めさせません。

こういう追い詰められ系の話が好きな人には堪らないと思います。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『暁の死線』 ウィリアム・アイリッシュ

ニューヨークで夢破れたダンサーのブリッキー。孤独な生活を送る彼女は、ある夜、挙動不審な青年クィンと出会う。なんと同じ町の出身だとわかり急速にうち解けるふたり。出来心での窃盗を告白したクィンに、ブリッキーは盗んだ金を戻そうと提案する。現場へと向かうが、そこには男の死体が。このままでは彼が殺人犯にされてしまう。潔白を照明するタイムリミットはたった4時間。

『幻の女』のウィリアム・アイリッシュによる一級品の胸キュンサスペンス。

田舎から都会に出てきて疲弊した男女。出身地が同じな2人は運命的な出会いを果たす。彼らは田舎に帰りたくても帰れない現状に苦しんでいて、1人じゃ無理でも2人ならと手を合わせることに。

しかし最悪なことに殺人事件に巻き込まれ、潔白を証明するためにバスが出発する朝の6時までに解決を試みる!という話。

『幻の女』でもそうでしたが、とにかくこの作家、都会の夜を描き出すのがあまりにも上手すぎる。美しくも寂しい風景の中で家に帰るために奮闘する男女がサスペンスフルに描かれていて流石です。

『幻の女』と違ってミステリ要素が弱いですが、その代わり恋愛要素を盛り込んだサスペンスに仕上がっています。

結末の衝撃:★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『ウォッチメイカー』 ジェフリー・ディーヴァー

ウォッチメイカーと名乗る殺人者あらわる。その報がリンカーン・ライムのもとに届いた。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を十個、買っていることが判明した—被害者候補はあと八人いる!だが、いつ、誰が、どこで?尋問の天才キャサリン・ダンスとともに、ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。一方、刑事アメリア・サックスは別の事件を抱えていた。会計士が自殺を擬装して殺された—事件にはニューヨーク市警の腐敗警官が噛んでいるようだった。捜査を続けるアメリアの身に危険が迫る。二つの事件はどう交差するのか?史上最強の敵、登場!時計じかけのごとく緻密な犯罪計画をひっさげてライムとアメリアを翻弄するウォッチメイカー。熾烈な頭脳戦に勝利するのはライムか殺人者か?ドンデン返しに次ぐドンデン返し。

『ボーン・コレクター』で有名なジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム7作目。

どんでん返しに定評があるシリーズですが、どんでん返しどころかとにかくどんでん返りまくりな、どこかアメリカっぽさを感じる1作。

この作品では主人公よりも、新登場のもはや”歩く嘘発見器”、尋問のプロ「キャサリン・ダンス」の魅力がとんでもない。聞き込みや尋問のシーンは今まで読んだどのミステリよりも面白かったです。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

カミーユ・ヴェルーヴェン三部作(悲しみのイレーヌ、その女アレックス、傷だらけのカミーユ) ピエール・ルメートル

その女アレックスが圧倒的に有名になったこのシリーズですが、全て読んでみると、これは3つで1つだなという感想に落ち着きました。

というのも、これらの作品は非常に高いサスペンス性が特徴でそこが評価されていますが、3作読むと、全ての作品で登場しているカミーユ・ヴェルーヴェン班の変化を楽しむのもまたこのシリーズの醍醐味だなと感じたからです。

実際、『イレーヌ』を読むと強烈に『アレックス』を読みたくなり、『カミーユ』を読むとまた『イレーヌ』から一気読みしたいと感じた方は多いのではないでしょうか。

ちなみに私個人の好みはイレーヌ>アレックス>カミーユの順。それにしてもピエール・ルメートルはサディスティックすぎる…w

ちなみに下でも紹介しますが、『死のドレスを花婿に』も面白いですよ。

『悲しみのイレーヌ』

『その女アレックス』のヴェルーヴェン警部のデビュー作。 奇怪な連続殺人をめぐる物語がたどりつく驚愕の真相。 若い女性の惨殺死体が発見された。パリ警視庁のヴェルーヴェン警部は、裕福な着道楽の部下ルイらとともに捜査を担当することになった。殺人の手口はきわめて凄惨で、現場には犯人のものと思われる「おれは帰ってきた」という血文字が残されていた。 やがて過去の未解決事件とのつながりが浮かび上がる。手口は異なるものの、残虐な殺人であることは一致していた。これは連続殺人なのだ。そして捜査が進むにつれ、犯人は有名なミステリ作品に登場する惨殺死体を模して殺人を繰り返しているらしいことが判明した。ジェイムズ・エルロイの『ブラック・ダリア』、ブレット・イーストン・エリスの『アメリカン・サイコ』……ほかにも未解決の事件があるのではないか? ヴェルーヴェン警部らは過去の事件のファイルを渉猟し、犯人の痕跡を探る。

結末の衝撃:★★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『その女アレックス』

おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『傷だらけのカミーユ』

 アンヌという女性が二人組の強盗に殴られ瀕死の重傷を負った。警察からカミーユに電話がかかってくる。アンヌの携帯の連絡先のトップにあったのがカミーユの電話番号だったからだ。カミーユは病院に駆けつけ、アンヌとの関係を誰にも明かすことなく、事件を担当することにする。しかし強引なうえに秘密裏の捜査活動は上司たちから批判され、事件の担当を外されるどころか、刑事として失格の烙印さえ押されそうになる。カミーユはいったいどのようにして窮地を脱し、いかに犯罪者たちを追い詰めることができるのか。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『我が母なるロージー』 ピエール・ルメートル

パリで爆破事件が発生した。直後、警察に出頭した青年は、爆弾はあと6つ仕掛けられていると告げ、金を要求する。カミーユ警部は、青年の真の狙いは他にあるとにらむが…。カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ番外編。

カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの番外編4作目。

200ページ程度の軽い読み物ではありますが、そのサスペンス性の高さとページをめくらせる力はさすがの一言で、一瞬で読み終わってしまいました。

やはり中編ということで少し物足りなさも感じますが、総合的に言えばやはり安定した面白さで上記3作を読んだ方なら間違いなく楽しめます。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『死のドレスを花婿に』 ピエール・ルメートル

狂気に駆られて逃亡するソフィー。聡明だった彼女はなぜ全てを失ったのか。悪夢の果てに明らかになる戦慄の悪意とは。
ソフィーは怯えていた。かつては優秀なキャリアウーマンだった彼女には秘密があった。ときに奇行を起こし、そのことをまるで記憶していないのだ。そのせいでソフィーは職も地位も失ったのだった。自分は正気を失ったのか。恐怖を抱えながらも、高名な政治家の家でベビーシッターをつとめるソフィーだったが、ある日、決定的な悲劇が訪れ、彼女は恐慌にかられて逃亡を開始した。自分は人を殺したのか? 自分は狂気に捕らわれてしまったのではないのか? そんな彼女をずっと見つめるフランツ。彼の暗い歩みとソフィーの狂気の逃亡が交差するとき、おそるべき罠が全貌を明らかにする!

優秀なキャリアウーマンだった主人公が、時々記憶を失ってしまうようになり、記憶を失っている間に人を殺してしまったという疑惑が持ち上がる。

かつて正常だった自分が、なぜこんなことになったのかわからないという感情移入しやすいスタートが、まさに極上のサスペンス性。

衝撃の展開が多数用意されていて全く飽きないので、最後まで行き着く間もなく読み切ってしまえると思います。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『わらの女』 カトリーヌ・アルレー

翻訳の仕事をする知的で打算的なドイツ人女性ヒルデガルデ、34歳独身。彼女が見つけた新聞の求縁広告は“莫大ナ資産アリ。ナルベクはんぶるく出身ノ未婚ノ方、家族係累ナク…”というものだった。こうしてすべてが始まった。そして彼女は億万長者の妻の座に。しかしそこには思いも寄らぬ罠が待ち受けていた。精確無比に組み立てられた完全犯罪。ミステリ史上に燦然と輝く傑作。

海外サスペンスというと幻の女や死の接吻などに押され気味ですが、私はこの『わらの女』は本当に面白かったです。

今風に紹介するなら、婚活中の34歳独身女性が大富豪の嫁募集の広告に飛びついて、遺産を狙う話ですw

結末に少しツッコミどころがあるのが残念ですが、本当に最後まで一気に読めます。面白い。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★

おすすめランク:A

『ケイトが恐れるすべて』 ピーター・スワンソン

ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住まいを交換し、半年間ボストンで暮らすことにする。だが到着の翌日に、アパートメントの隣室の女性の死体が発見される。女性の友人と名乗る男や向かいの棟の住人の話では、彼女とコービンは恋人同士だが、まわりに秘密にしていたという。そしてコービンはケイトに女性との関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか? 第二部で真相が明かされた瞬間に第一部を思い返し、驚きで戦慄する――。

『そしてミランダを殺す』のピーター・スワンソンが放つサスペンス。

又従兄と住まいを交換してボストンに来たケイトは、到着の翌日に隣人が死体となって発見されるという災難に巻き込まれる。

周囲の人間はどれも癖があって誰も彼もが怪しく見えてくる中、章ごとに語り手が入れ替わって意外な事実がどんどん明らかになっていく、という構成。

結論から言うと、全ての面でミランダのほうが上だったかな…。

もちろんこちらもどんどん引き込んでくれて一気読みできるんですが、中盤の面白さが凄いのに対して終盤がちょっと弱かったかなぁ。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★

おすすめランク:B

『死の接吻』 アイラ・レヴィン

二人は学生同士の恋人だった。女は妊娠しており、男は結婚を迫られていた。彼女をなんとかしなければならない。おれには野心があるのだ――冷酷非情のアプレゲール青年の練りあげた戦慄すべき完全犯罪。

この作品もミステリーランキングで上位常連の作品。視点の切り替えによって読者の興味が移り変わっていくという面白い構成の作品です。

この作品は3章構成なのですが、それぞれの章で焦点が変わっていきます。

第一章では、あらすじの通り予定外の妊娠をしてしまった彼女をどのように始末するのか、犯人の男の心理をサスペンス要素たっぷりに描きます。

そして第二章。犯人の男を追う人物が登場し、そちらからミステリー的要素に移ります。ここで面白いのが、第一章の男の名前が登場していないが故に読者も犯人がわからないということ。第二章で犯人候補に上がる男たちの中に、第一章のあの男がいるのか。そのような視点で読み進めていくことになります。

それなりに長い作品ですが、このように視点が変わるため飽きが来ないのが特徴です。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

【短編部門】のおすすめミステリ

名探偵傑作短編集シリーズ

最近講談社から発売された「名探偵傑作短編集」。

最初に登場したのは御手洗潔と火村英生と法月綸太郎の3冊ですが、これらは見事に全ておすすめできる出来。それぞれの探偵を知らないという方にも入り口としておすすめできます。

御手洗潔短編シリーズ 島田荘司

御手洗潔の長編をいくつか読んで好きになった人には短編集が超おすすめ。

御手洗のキャラクターを存分に楽しめ、笑いあり、時にはホロリと来るものもあり、そして島田荘司得意の大掛かりなトリックも十二分に楽しめることができて非常にお得感があります。

最近発売されたこの厳選短編集のおかげで、短編にも手を出しやすくなりましたね。

私は御手洗の短編集は全部読みましたが、この傑作短編集は話のチョイスもかなりいいところを抑えてると思います。特に人気なのはやはり御手洗の優しさが垣間見える「数字錠」ですが、私はどれも同じくらい好きだなぁ。

火村英生短編シリーズ 有栖川有栖

作家アリスシリーズの中から選りすぐりのものを集めた短編集。論理のキレを楽しむならやはり有栖川有栖が鉄板ですね。

私は作家アリスシリーズより学生アリスシリーズのほうが好きなのですが(推理小説部門参照)、この短編集は面白いものが厳選されているのでやはりおすすめできます。

個人的に特におすすめなのは「スイス時計の謎」。150ページくらいあるので短編というより中編のボリュームですが、ノスタルジーのある切なさと論理のキレが両立された傑作だと思ってます。作家アリスシリーズを知らない方には是非読んで欲しいですね〜。

ちなみに作家アリスシリーズはドラマ化もされていて、Huluで配信されています。興味のある方は是非。

法月綸太郎短編シリーズ 法月綸太郎

探偵法月綸太郎の厳選短編集。

やはり法月さんの文章はとても上手く、短編なのもあって物凄くスラスラ読めます。

話の面白さも長編に引けを取らず、特に殺人現場に残された”電気をつけなくて命拾いしたな”というメッセージの意味を探る「都市伝説パズル」の出来は素晴らしいです。

『儚い羊たちの祝宴』 米澤穂信

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

本の説明で「暗黒ミステリ」と書かれているように、とにかく暗鬱な短編が集まった作品。

どれも結末でゾクっとくる話ばかりで、短編でここまで楽しめるものかと驚きます。

さらに短編でありながらどれも一筋縄ではいかない話ばかりで、深読みして初めてわかる衝撃も散りばめられています。

どんでん返し好きに是非おすすめしたい一冊です。

『満願』 米澤穂信

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

個人的に短編集なら一番だなと感じているのが米澤穂信先生。

満願は各賞を取りまくりで本屋の平台にも大量に並んでいたので、これを機に手に取った方も多いのでは。

前作『儚い羊たちの祝宴』ではインパクト重視だなぁと感じましたが、この『満願』は渋い話が多くて凄く面白かったです。

もちろん各話の結末はしっかり読者に衝撃を与えてくれるので、コンパクトに読書したい方は是非。

『鳥 デュ・モーリア傑作集』 ダフネ・デュ・モーリア

ヒッチコック映画で有名な『鳥』ですが、あの原作者の短編集。

古典なんですが、これがもう想像を遥かに越えてめちゃくちゃに面白い。流石にヒッチコックの原作なだけあるし、言ってしまえば『鳥』も映画版よりこっちのほうが好き。

それぞれの短編で味わいが全く違うし、話のタイプも全く違うのに全部面白いから本当に驚き。興味あるならぜひ手にとってほしい、一押しの短編集です。

【叙述トリック部門】のおすすめミステリは紹介することがネタバレなので別記事で!

ミステリといったら今外せない「叙述トリック」。

これは紹介すること自体がネタバレになってしまうので別記事にまとめています。

叙述トリックとわかっていても面白いものが読みたい!という方はぜひどうぞ!

こんにちは!シュガーです。 今回は私が好きなミステリでも特に「叙述トリック物」に絞って、おすすめランキングを作成してみようかなと思います。...

私が好きなミステリランキングベスト10+α

最後に、私が個人的に好きなミステリベスト10をランキングで置いておこうと思います。

迷いまくりました。というのもそんなに大差ないというか、10選は苦労しないのですがその中での上下は難しいです…。

追記:新たに自分のベスト10に食い込んだ作品を追記した際は、もともとの10位の作品は消さずに11位、12位と繰り上がっても残すことにしました!このベストもどんどん増えていけばいいなと思います。

13位:『悲しみのイレーヌ』

一冊の本から与えられた衝撃という意味ではトップの作品。

結末があまりにも重すぎて、『アレックス』を先に読んでいなかったらどんな余韻になっていたのか今でも心配。

しかしそれだけではなく有名ミステリに擬えた連続殺人という事件自体も好みで、また1部から2部に入ったときの衝撃も半端じゃないです。しかも新しいタイプの衝撃。

12位:『体育館の殺人』

正直言って、こんなに面白いとは思ってなかった。笑

読みやすいバリバリの本格ミステリという意味では非常に価値のあるシリーズだと思います。体育館を読んだ後、3作一気読みしてしまいました。

『体育館の殺人』は、AmazonのKindleUnlimitedの対象作品になってます。KindleUnlimitedは月額980円で特定の電子書籍が読み放題のサービスですが、初回は30日無料で体験できます。なのでコレ、無料で読めます。

11位:『十角館の殺人』

もうあの一行の快感に尽きる。

一行でどんでん返し系のミステリは数多くあると思いますが、これほど明快に、なんの疑問が生まれるでもなく、ゾクっとくる一行は他にないと思います。

一箇所犯人の行動描写で気になる点があるので、もうちょっと読者を恐れずに攻めてほしかったな~。

10位:『Xの悲劇』

事件の情景が最も頭から離れない一作。

おそらくニューヨークの情景描写が相当上手かったんでしょうね。完全に頭のなかで映画化されてます。

章ごとに日付と時間を書いてくれていることの重要さが身に染みる…。

9位:『ボーン・コレクター』

映画は何回も観たことがあってそちらは「まぁまぁ」くらいの評価だったんですが、原作を読んだら面白すぎてびっくりした作品。

プロット、サスペンス性、意外性、人間ドラマ、ロマンスとどれをとっても面白くて隙がない完成度です。特に、自殺願望がある主人公の再生の物語として普通に面白い点が評価をグイッと押し上げていますね。

映画だけ知ってる!という方にはぜひ読んでほしい一冊です。

8位:『幻の女』

サスペンスといえばコレ。

出だしの一文の美しさが有名ですが、全編通じてノワールな雰囲気が漂っていてそこが好み。

存在するはずなのに見つからない幻の女、次々と殺される関係者。とにかく続きが気になって仕方ないので物凄いスピードで読めます。

7位:『折れた竜骨』

中世ファンタジー好きの私には堪らなかった作品。

「強いられた信条」による操り人形「走狗」が起こす殺人、魔法世界ならではの捜査方法など最初からワクワクが止まらなかったです。それでいてクライマックスは「儀式」と題して本格ミステリさながらの全員を集めての推理ショーと好きなところはすべて抑えていた作品。

唯一、クリティカルな伏線があまりにも見え見えなのがもったいない…。

6位:『ハサミ男』

とにかくハサミ男のキャラクターが好き。

なんであんなに自殺しようとしてるのかと真剣に読むと意味不明なんですが、滑稽に思いながら読むと自殺失敗するたびにちょっと笑えてきます。

トリックが文字通り「一筋縄ではいかない」ところが大好きで、「見破ったぞ!」と思っても犯人まで辿り着けないところが好きです。

5位:『占星術殺人事件』

トリックでは右に出るものはいないと確信している一作。

手記で脱落する人も多いようですが、島田荘司作品は全く結末が予想できない始まり方をするので、私は手記の時点でめちゃくちゃワクワクしてました。

ただ少し中だるみがあるので(石岡くんの京都旅行笑)、もう少し中盤がスマートならベスト3は硬かったかなと思います。

4位:『孤島パズル』

有栖川有栖の学生アリスシリーズ2作目。

とにかく全てが面白かった…。個人的に文句の付け所がないくらい楽しめました。もうこの作品は、面白い以上に本当に好きなんだと思う。定期的に読みたくなるので。

謎解きのスケールはまさにちょうどいい感じで、読者への挑戦も真っ向から挑みたくなります。これぞ謎解き小説。

シリーズで一番有名な『双頭の悪魔』もそうですが、この方の作品は舞台の描き方が上手いんですよね。脳内に情景が凄く浮かびますし、いつまでも頭に残ります。

3位:『異邦の騎士』

初読時に見事に結末にびっくり仰天し、同時に感動した記憶が抜けない一作。

サスペンスが好きなので記憶喪失の男が何やら事件に巻き込まれていくというプロットに物凄く引き込まれ、一気読みしたのを覚えています。

占星術→斜め屋敷→異邦と読んで完全に御手洗潔のファンになりましたw

2位:『時計館の殺人』

1位と迷った結果、ギリギリで2位に。

時計館はスロースタートな点と、探偵役が好みではない点を除いてほとんど言うことがないです。特に下巻に入ってからは超一気読みさせられますね…。

とにかく綾辻行人の館シリーズではダントツの出来だと思っている作品がコレ。とにかく完成度が高い。なんといっても「館」自体のキャラ立ちが他と比べ物にならず、クライマックスの美しさと荘厳さはミステリ1だと思ってます。

1位:『Yの悲劇』

迷った結果、1位はYの悲劇に。

自分でも1位というと違和感がなくはないのですが、1回読んだだけで全ての伏線が頭に絡みついて離れずいつまでも記憶に残るという点、海外古典のくせに何度読んでも本当に面白い点などやはり突出したところがある感は否めません。そして嫌いなところが1つもないんですよねこの作品。

なぜこんなに内容が濃いのか。読んだ後ここまで内容を忘れないミステリはこれくらいです。

独特の読後感もやっぱり好きで、最初に読んだとき眠れなくなったのも忘れられません。

番外:絶対おすすめの映像作品ミステリ

ミステリといえば、映像作品。主に海外ドラマは絶対に外せません。

名探偵ポアロ&ミス・マープルシリーズ

必見というか、もう観てるよねレベルの超名作シリーズ。

特にポアロのデビット・スーシェはもう完璧なキャスティングですよね。

ドラマ版のポアロシリーズは、第一話から最終話の『カーテン』まで、全てU-NEXT(1ヶ月無料)FODプレミアム(1ヶ月無料)でのみ配信されているので、ぜひ一ヶ月の無料体験で観てみて下さい!(どちらも未体験で1ヶ月無料体験できるのなら、三谷幸喜版のアクロイド殺し『黒井戸殺し』が観れるFODプレミアム(1ヶ月無料)のほうがおすすめです。)

ちなみに、ドラマ化の前にピーター・ユスティノフ主演で映画化されていたポアロシリーズでは、スーシェはジャップ警部役だったりしますw

刑事コロンボシリーズ

超名作シリーズ。

ユニークな手法で犯人への手がかりを見つける様は観ていて本当に面白い。特にコロンボは時には犯人に敬意を払っているところが素晴らしい。

最初から犯人がわかっているからつまらないという声もありますが、そう感じたことは一度もないですね。(断言)

観ている人は犯人とその事件を知っているので、コロンボがどういう着眼点で犯人に迫っていくのかに集中して楽しむことができるんですよね~。

刑事コロンボは映像配信サービスでは配信されていないので、TSUTAYAディスカスで借りまくって観るのがおすすめ。一ヶ月無料で体験できるので、是非観てみて下さい!

どうも過去の名作ドラマは配信サービスで観れないのが無能すぎるなぁ…。

古畑任三郎シリーズ

三谷幸喜脚本の、『刑事コロンボ』シリーズをオマージュした和製ミステリシリーズ。

コロンボシリーズとの共通点は本当に多くて、コロンボを知っていれば古畑シリーズがより楽しめ、古畑シリーズを知っていればコロンボもより楽しめると思います。

もちろん犯人役には有名人のゲストを迎え、今見返してみると皆本当に若い!若すぎる!笑

そういう意味でも見どころのあるシリーズですねw

別の記事で古畑任三郎シリーズのおすすめエピソードをランキングにしてみたので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。

こんにちは!シュガーです。 FODプレミアムで、古畑任三郎シリーズをイッキ見してます。 本当に久しぶりに見てるんですが、やっぱり面白いで...

古畑任三郎シリーズはFODプレミアムで見放題なので、まだ登録していない人は1ヶ月の無料体験でぜひイッキ見を!

>>FODプレミアムで古畑任三郎シリーズを観る(1ヶ月無料)

※三谷幸喜繋がりで、アクロイド殺人事件のオマージュ「黒井戸殺し」も観れます!

フロスト警部シリーズ

原作が超高評価シリーズ。

ドラマ版のフロストも茶目っ気たっぷりでめちゃくちゃ好きです。

やっぱりフロストも映像配信サービスでは観れず、私はこのためにTSUTAYAディスカスに登録したのですが、フロストのDVDはニューシーズンしかない(最初の方はまさかのVHSw)というキツさ…。

AXNミステリーで観るしか方法はないのか…。

ミステリ映画は別記事で紹介しています

映画に関しては、別の記事でまとめていますので是非御覧ください!

こんにちは!ミステリやサスペンス映画&小説が大好物のシュガーです。 私は本当にミステリが大好きです。 小学生のころ、おばあちゃんの家に行...

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読書におすすめのグッズ紹介

Kindle Paperwhite

まずはKindle。

こちらのPaperwhiteはとにかく読書に特化したKindle端末。

スマホと違い目に優しいフロントライトを搭載しており、就寝前の読書もバッチリ。

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私が普段使用している本革ブックカバー。文庫の分厚さに左右されないので使いやすくておすすめ。なにより手触りの柔らかさが最高。

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お風呂の時間をゴージャスな読書に。本でもタブレットでも使えます。

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