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どちらの陣営にも共感できる見事な内容と展開
シビルウォーは展開が見事だったと言う他ないです。
シビルウォーでの対立には、大きく分けて3つのステップがあったなと感じています。
そしてそのどれも、一言では片付けられない難しい問題で、その戦いはとても切なく、複雑な感情を抱くものになっていました。
黒幕の動機は、エイジオブウルトロンのソコヴィア事件で大事な人失ったが故に、アベンジャーズに復讐したいという人物。テーマにも一貫性がありました。
対立①アベンジャーズを国連の監視下に置くか否か
これが最初の分かれ道であり、ここはとても難しい問題だったと思います。
テロ事件があったことで対立は物凄くわかりやすい形になりましたが、理由がこのソコヴィア協定に関しての物であり続けていたら、もっと複雑な問題になっていたような気がします…。
キャップの言うこともわかるんですが、トニーの言うこともまたわかる。犠牲になった人たちに対する責任を個人でどう取っていけばいいのか。本当に難しい問題です。流石にこれに答えを出すのは難しかったか。
対立②無実の罪である友人を守るか否か
バッキーがテロの犯人として指名手配され、それを庇ったキャップは犯罪者扱いになります。
ここからはキャップ側が明らかに正しいと思えるような構図になっています。
というのも、バッキーはアベンジャーズの内部対立を目論む黒幕にハメられており、テロに関しては無実であることが判明したからです。
しかしバッキーは黒幕に、ヒドラが使っていた洗脳術によって再び洗脳され、トニーらと戦闘して脱出してしまいます。
キャップは彼を助け洗脳を解くことに成功しますが、トニーらは危険な存在であるバッキーを目撃し、それを守るキャップを、ソコヴィア協定の存在もあって野放しにすることは出来ません。
これは本当に避けられない戦いだったなぁと。歯がゆい。(でも正直、アクションシーンに対するワクワクがハンパなかった笑)
対立③洗脳されていた時の事件は誰の罪なのか
そしてここが辛かった。
アイアンマンことトニー・スタークは、両親を交通事故で亡くしています。いや、正しくは交通事故で亡くしたと思っていたのです…。
トニーは、バッキーの件には黒幕がいて、キャップたちが正しかったことに気づきます。
トニー達と戦闘したことで、今は犯罪者として刑務所に入れられてしまったキャップ陣営のファルコンにそれを話し、トニーは一人、キャップとバッキーの元に向かいます。
ここで3人で黒幕と対決か…!
と、思いたかった。シビル・ウォーはそんなに甘くなかった。
黒幕がずっと探しまわっていた『1991年の任務レポート』。そこには一つの映像が残されていました。
ウィンターソルジャーであるバッキーが、車に襲撃を掛けたのです。そして、そこに乗っていたのが、スターク夫妻…。そして…。
トニーの両親は、交通事故で亡くなったのではなかった。洗脳されて活動していたウィンターソルジャー時代のバッキーに殺害されていたのです。
そして、キャップはそれを知っていてトニーに黙っていました。トニーはそれがどうしても許せなかった…。そしてトニーとキャップ・バッキーは再び戦いになってしまいます。
ここはとにかく哀しかった。この戦いは、なんとか避けられるものであったのではないか。今でもそう思えて仕方ないんですよね。
ツッコミどころの少ない素晴らしい映画だったんですが、私はここだけ一言言いたかった。
バッキー、なぜアイアンマンをボコるんだ。と。
確かに、当時のバッキーは洗脳されていて、罪はなかったのかもしれない。だけど、トニーに対して『I’m sorry.(ごめん&気の毒だったの2つの意味で)』の気持ちくらいはあってもいいんじゃないか。少し黙って殴られるくらいの。バッキー、思いっきりアイアンマンの胸の装置外そうとしてましたからね。そこまでキレるのはちょっとわからない。
トニーだって、バッキーに本来の罪が無いことくらいはわかっていたかもしれないし、友人だと思っていたキャップが自分にそれを隠していたことがショックで、居ても立っても居られなくなっただけだったかもしれない。
キャップとバッキーがもう少し歩み寄っていれば、この戦いは避けられたんじゃないだろうか…そう思いましたね。トニーが流石に可哀想でした…。
そして最終的に敗北してしまったトニーは、キャップに向かってこう言いました。
「その盾を捨てていけ。それは私の父が君に作ったものだ。君が持つ資格はない!」
バッキーが洗脳されて殺害したトニーの父、ハワード・スタークは、キャプテン・アメリカに盾を作ったその人なんですよね…。
そしてキャップは盾を置いて行ってしまう。悲しいシーンだった。
余談ですが、最後キャップがアイアンマンの胸に盾を思いっきり突き刺したシーンでは流石にびっくりしました。トニーが死ぬんじゃないかと焦った。キャップのダークさにも焦った。
シビル・ウォーのアクション・戦闘シーンは最高
シリアス部分はここで一旦置いておいて、もう一つのシビル・ウォーの魅力であるお祭り部分について。もうこれは最高だった!!!
やっぱりスパイダーマンってサイコー!
トム・ホランドのピーター・パーカーが初登場!!
役にドハマリでしたね。今までのスパイディで一番好きかも。2017年公開のホームカミングも絶対に観に行きます。
戦闘シーンのアクションも、ペラペラ喋りすぎで相手から叱られちゃうところも、全てが良かった。劇場でもスパイダーマンの登場シーンは笑いが絶えなかったです!
巨大化したアントマンに対して、『帝国の逆襲知ってる!?』と言いながら脚を糸でぐるぐる巻きにして倒すシーン。あのシーン大好きなのでテンション上がりました。笑
ブラック・パンサー舐めてた
こちらも初登場のブラック・パンサー。爆発テロで殺害されてしまったワカンダの王の息子がその正体です。
地味だと思っててすまん。めっちゃカッコ良かった。宣伝では鍵を握るのはスパイダーマンと言っていましたが、ブラック・パンサーのほうが重要度高かったです。
対立に対する立ち位置も、視聴者としては一番納得できるものだったんじゃないかなぁと。
父を殺され復讐に燃えるも、標的が間違っていたとわかるとすぐにそれを受け入れ、黒幕を追い詰めた後も、復讐の連鎖を止め投獄させることを選ぶという大人っぷり。彼だけはアベンジャー(復讐者)じゃなかった。
ちなみにhuluではブラック・パンサーのアニメを観ることができまして、そこでブラック・パンサーの世代交代に関しての話が観れます。そのアニメ、絵の動きがめちゃくちゃ独特でして、日本アニメのクオリティの高さに驚くと思いますw 他にもキャップとアイアンマンが共闘する長編アニメ(なんとキャップがアイアンマンのスーツを着ちゃったりする)も配信されているので、興味がある方は是非。
お笑い担当のアントマン、やはり良い
今作のアントマンは、単品作品になかった巨大化の能力も駆使!ジャイアントマン!!
シビルウォーにはアントマンとスパイダーマンがいてくれて本当に良かった。彼ら二人が沢山笑わせてくれたおかげでこの映画は絶妙のバランスを保てたんじゃないかと。
刑務所に入れられて皆がトニーを批判するのに便乗して「スタークは信用するなって言われてたんだ!」からの「お前誰だよ」「アリかよ」の流れは良かった。w
シビル・ウォーの結末…。これからどうなるアベンジャーズ
ラストシーンでは、トニーの元にキャップから手紙が届きます。
バッキーとトニーの両親の件を黙っていたのは、トニーを守りたかったから。でも自分のことも守りたかったのかもしれない、ごめん。と。
そして、僕はあくまでも組織ではなく個人個人を信じる。彼らは決して裏切らない。これからも、何かあったら呼んでくれ。必ず駆けつける。と。
戦いはしたものの、やはりこの二人は友人だよなと最後に少し心を温めてくれました。キャップありがとう。
同時刻にキャップは刑務所を襲撃し、捕まっていたキャップ陣営のアベンジャーズメンバーを助けだすところでエンドロールです。
これからアベンジャーズはどうなるんでしょうね~。
刑務所から助けられたキャップ陣営は皆犯罪者扱いになってしまいそうだし。
トニーは最後の手紙を読んで、国連からの刑務所襲撃の連絡を無視しましたから、トニーも組織ではなく個人を信じることにしたんでしょうか。キャップは最後に、トニーにはアベンジャーズという家族が必要だと言っていましたし、今やその家族はほとんど犯罪者という扱いになってしまいそうですからね。
どちらにせよ、キャップよりむしろトニーにとってはこれから茨の道のような気がします…。今回の件で、他のアベンジャーズメンバーと微妙な関係になってしまいましたしね…。
そういう意味では、やはりトニーにはこんなことがあってもキャップが一番の親友だったんだなって思います。だから、また共に戦って欲しい。そしてまた、エイジオブウルトロンのラストシーンのように、笑いながら話せる仲になってほしいな。
シビル・ウォーは笑いありシリアスあり人間ドラマありの、MCU最高傑作だったと思います。素晴らしい映画をありがとう。
原作ではまた違った戦いと結末が楽しめます。原作を知っていて、映画の結末にホッとした人も多いかも?