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ファンタジー界の超名作『ルーンの子供たち』の感想とキャラクター達の魅力を紹介!

こんにちは。シュガーです。

オンラインゲーム『テイルズウィーバー』の原作でもある『ルーンの子供たち』の紹介記事です。

これ、本当に超名作です…。内容は勿論、ゲームよりもキャラクターたちが更に魅力にあふれていまして、これはゲームをやったことがない方にも全力でおすすめできるダークファンタジー小説です。

実は私も昔は新鯖スタートダッシュをやるような廃人でしたが、この小説は正直ゲーム本編の何倍も面白いです。

TWをやっていてキャラクターが好きだという方はもはや絶対読むべきです。100%保証します。

今回はあらすじに加えてキャラクターの魅力を、TWに登場するキャラクターを中心にまとめてみたいと思います。新作でもないのでネタバレしまくりです。

 

※追記

なななななななんと、ルーンの子供たち第三部が出版されるようです!!!(ソース韓国語)

どうやら主要人物はイスピンマキシミンの模様。生きる理由が生まれました。お願いだから邦訳も出版を…!!

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ルーンの子供たちはなぜ名作なのか

まず、この作品が秀でているところをいくつか紹介します。

魅力的な人間描写

ボリス、イソレット、ランジエ、ジョシュア、マキシミン、リチェといった各メインキャラクターはそれぞれ生い立ちも身分も価値観も大きく異なり、彼らの思想が丁寧に描写されています。そして価値観の違うキャラクター同士の衝突が名シーンを生み出しています。つまるところ人間描写がめちゃくちゃ上手い。

キャラクターが全員芯の強い性格をしているのもいいですね。全員が自分のために生きているからこそ、キャラクター同士が絡んだ時に面白い化学反応が起こるのだと思います。

作者のジョン・ミンヒ氏の教養と実力

まず、この作品には明らかに天才クラスの人物が3人も登場します。それがデモニックであるジョシュア、共和制を実現させるために暗躍するランジエ、親がおらず幼年期の頃から弟や妹を食わせてきたマキシミンです。

ジョン・ミンヒ氏本人も言っていますし当然のことですが、天才を主人公として話を展開するのは並大抵の難しさではないはずです。特に、デモニックである超天才のジョシュアを主人公に据えておきながら、ランジエとマキシミンの2人をしっかりキャラクターとして独立した魅力を持たせているのは半端ない実力だと思います。

ジョン・ミンヒ氏の教養が見え隠れするのは人物描写だけではありません。話の根底にある政治の話にしてもそうです。特に第二部のデモニックでは共和制が崩壊して王制となり、その王制を崩壊させ共和制を取り戻そうとする活動がメインに関わってきますが、論理的な会話とそれが本筋に絡んでくる様は本当に美しいです。

この点から、間違いなく大人が楽しめるファンタジーとしては一級品だと感じています。

ルーンの子供たち第一部『冬の剣』あらすじと感想

伝説の武具ウィンターボトムキットを家宝として持つジンネマン家。

そのウィンターボトムキットを巡る骨肉の争いに巻き込まれ、ジンネマン家の幼き少年ボリスは逃亡して外の世界に放り出されてしまう。

純粋なボリスはウィンターボトムキットを奪おうとする悪意を持った人間たちに何度も騙されながら、兄の想いを胸に孤独に生きていく。残酷な外の世界に擦り切れていくボリスだが、ランジエやウォルナット、イソレットとの出会いと別れを経て成長していく。

特に月の島でのイソレットとの出会いは彼に人間らしい感情を取り戻させていくが、ボリスには更なる困難と別れが待ち受けていた。

 

あらすじとしてはこんな感じです。シチュエーションを簡単に言うと、小学生が世界の誰もが欲しがるお宝を持ったまま帰る家がなくなってしまったという感じ。つらすぎる。

雰囲気は重苦しいですが、とにかく読み始めると止まりません。ルーンの子供たちはとにかくキャラクターの個性に魅せられますね。ボリスとイソレットの関係もなんともいえない距離感で目が離せません。

ルーンの子供たち第二部『DEMONIC』あらすじ

アルニム家の血統に稀に生まれる悪魔的な天才『デモニック』。

そんなデモニックである主人公のジョシュアは、あまりに天才過ぎることから周りの人間に疎まれ、憎まれていた。

しかし田舎の生活で、自分がいくら天才であっても全く生活力がないと知ったジョシュアは、そんな自分を生まれて初めて「馬鹿」と嘲ったマキシミンと友達になる。

ジョシュアは政治が絡んだ陰謀に巻き込まれ、魔法によって自分のドッペルゲンガーを作られ存在を奪われそうになった上に命を狙われるが、不幸にも巻き込まれてしまった友達のマキシミン、リチェと共に陰謀に立ち向かっていく。

 

こんなあらすじかなと。

デモニックは、第一部に比べてユーモアに溢れていて読みやすいです。その原因の全ては準主人公のマキシミンにあるといってもいいですねw

マキシミンは悪魔的な天才であるジョシュアを初見で無能呼ばわりし、その姿勢が逆に新鮮で友達になった二人。おてんばなリチェを交えた3人のやり取りは笑いに溢れています。

第一部と第二部に共通することなのですが、共和制や王制の政治がらみの問題が本筋に大きく関わっていて、この辺りも物凄く面白いです。著者が政治学を学んでいたのだとか。

ルーンの子供たちに登場するキャラクターたち

ボリス・ジンネマン

第一部『冬の剣』主人公。

トラバチェスのジンネマン家で平和に暮らしていたが、ジンネマン家の家宝であるウィンターボトムキットを巡る争いに巻き込まれたことで家族を失い、苦難に満ちた人生を歩むことになる。

TWでのボリスは無口で無愛想なキャラクターという印象がありましたが、原作ではそんな雰囲気はほとんどありません。

彼はどちらかというと無垢な少年で、人から騙され続けたことによって人に対する警戒心は強いですが、信頼している人に対しての愛情も深く、涙を流したり、怒ったり、感情豊かでとても好感の持てる少年です。どちらかというと母性本能をくすぐるタイプだと思う。

行く先々で苦難にあいますが、決して精神的に強いタイプではなく、兄の想いやナウプリオン、イソレットへの想いをバネに必死にもがき生きてきました。

月の島ではやっと精神的な安定と幸せに巡り会えたかと思いきや、それが続くこともなく…。

切なく、苦しい別れを多く経験するボリスですが、その度に一歩前に進んでいく彼の人生に目が離せませんでした。

イソレット

第一部『冬の剣』ヒロイン。年齢はボリスの3歳年上。

ボリスが旅の途中で辿り着く閉鎖的な島に済む、『山の上のお姫様』。

最愛の父を亡くし、孤独に暮らしていた。精神的にとても大人で落ち着いた雰囲気だが、侮辱されれば剣を抜くような。苦しめられたら復讐して当然というような。そんな激情も持っている。

父親から継いだ双剣術『ティアラ』と、願いを込めて特殊な効果を発揮する『神聖チャント』を歌うことができ、ボリスに神聖チャントを教える先生になる。

最初は意思疎通すらほとんどしないボリスとイソレットだが、お互いに父を亡くしている点や性格的に似通った点があることから、徐々に打ち解けていく。

ボリスとチャントを送り合うラストシーンが美しすぎる…ジョン・ミンヒさんってああいうシーン作るの本当に上手ですね。

ナウプリオン(ウォルナット、イシルダー)

名前何個あるんだ!!w

ボリスの師匠で、月の島の剣の司祭。

最初はふざけた師匠のように思えましたが、ボリスのその苦難に満ちた人生に喝を入れる中で愛情を芽生えさせていきます。

苦難に耐え続けた末感情が溢れて泣き出してしまったボリスに、「人間はいつか死ぬために生きているんじゃない。生きている明日のために生きるんだ」と抱きしめながら言うシーンはとても良かった。

ボリスにとっては兄のイェーフネンの死後、友であり、兄であり、父でもあるような特別な存在。そしてまたナウプリオンにとってもボリスは本当に特別な存在でした。長生きして欲しい。

ランジエ・ローゼンクランツ

第一部と第二部に登場する裏の主要人物。

第一部、少年時代はボリスが養子になったベルノア邸で下僕として働いていた。第二部では共和制を復活させるためのレジスタンス組織『民衆の友』で幹部クラスの大物になっていて、共和制復活のためにアルニム家の排除を狙う。賞金首になっているので、隠れて活動中。

自閉症の妹を大切に思っており、妹のため、妹が幸せになれる世界を作るためなら自分をいくらでも犠牲にできるような性格。空色の髪に、信念を宿した深紅色の瞳。一度見たら忘れられない端正な顔という凄まじい設定。

過去、貴族の父親から母、自分、妹の3人が捨てられ、母とも生き別れになり、幼い妹を守りながら生き抜いてきた。苦しみを楽にするため、生きる希望を捨てるために自分が好きだったすべてのものを価値のないものと思うようにした経験から、美や芸術、生活の中の幸せに対しての感情が無くなってしまった。

ベルノア邸でボリスの下僕になった時、ボリスはこのランジエと様々な共通点と、絶対に相容れないような違いを見出し、別れた後も何度もこのランジエのことを気にしていた。

ルーンの子供たちに登場するキャラクターの中で、一番感情らしい感情を表に出さないキャラクターですが、拷問からなんとか生還した際、妹のランズミが無事だと聞いて初めて涙を流し、自身の弱みを沢山吐き出したシーンはもう…。

第一部、第二部共にメインキャラクターとして本筋に登場する。第二部のラストでランジエが学園に合流してくるので第三部がもう待てない…。

ルシアン・カルツ

第一部『冬の剣』と第二部『DEMONIC』に登場する脇役。

お金持ちの息子であるボンボン。TWで有名なおしっこ発言はない。笑

物語の中盤、シルバースカルという闘技大会が行われ、そこで賭けをしている時にイソレットに『ボリスが必ず優勝するから賭けるといい』と言われて鵜呑みにし大儲けした。

ボリスが月の島を出て行ってからひょんなことで出会い、ボリスはルシアンの護衛剣士をやることに。ボリスの苦難だらけの人生の中で、ルシアンの明るく素直で奔放な性格は本当に癒やしだったと思います。

ラストシーン、ルシアンに雪球を投げつけるボリスが作中で初めて歳相応の少年に見えました。こういう友達ってボリスにとっては初めてだったので、ルシアンがいてくれて本当によかったと思います。

第二部では最終巻でボリスと一緒に登場し、文字通り場を盛り上げてくれました。

ジョシュア・フォン・アルニム

第二部『DEMONIC』主人公。

ゲームに比べて圧倒的に好きになれたキャラクター。ゲームはとにかくイケメン押しだったような気がするんですが、ジョシュアはやっぱりどっちかというと可愛い系な気がしますね。一人称もゲームの「オレ」より原作の「ぼく」のほうが似合う。

共和制の崩壊によるアルニム家の危機に、9歳にして生存戦略を思いつくような天才で、見た事、聞いた事は一切忘れず、脳の容量は人の意識が98人分あっても耐えられるくらいと想像を絶するスペック。それに加えて淡麗な容姿で、演劇は脚本・作曲からすべて一瞬でこなせる。難しい楽器も初見でマスター。

でも、自然に投げ出されると一人で食べていくこともできないという絶妙のバランス。

天才すぎるが故に人から疎まれ憎まれの人生を送っていたが、マキシミンと出会うことで始めて他人と友達になれた。

政治が絡んだ陰謀に巻き込まれ、少公爵としてのジョシュアの立場を邪魔に思う義兄に魔法によって複製人形が作られて、自分の居場所を乗っ取られてしまう。最初は人形を始末しなければならないという考えだったが、自分が今人間らしく生きているのは自分の少公爵としての存在を人形が奪ってくれたからだと考えるようになり、人形と共に生きることを考えるようになる。

最終巻ではネニャフル学園でボリス・ルシアンと合流。ルシアンと一緒に笑顔でパイをばら撒き、後ろでボリスとマキシミンがお互いの精神年齢の低い友人について言い訳するシーンが微笑ましかったです。天才と幼さの絶妙なギャップが効いてますねw

マキシミン・リフクネ

第二部『DEMONIC』の準主人公。

ワードセンスの塊。個性が溢れすぎていてただ発言するだけで面白いという素晴らしいキャラクター。今までの全ての作品でこんなにキャラクターに魅力を感じたことはなかったかもしれない。それくらい物凄いヤツw

完全無欠の天才かと思われたジョシュアを初見で『干からびた鶏の骨のような野郎』『舐めて残った飴のような奴め』とセンス溢れる蔑称で呼ぶ。口が物凄く悪く、口を開けばセンス溢れる屁理屈で他者を攻撃する。

しかしジョシュアのことを相当大切に思っているのが伺えるなど、友達になった人に対してはなかなか世話焼きアツくていい男。ジョシュアが肉体的にひ弱なので、マキシミンには相当助けられてますね。

ジョシュアが頭脳的に天才なのに対して、マキシミンは世の中で生きていく実践的な頭脳で天才と呼べるキャラクターで、ジョシュアというキャラクターがいるのにも関わらず頭脳面でキャラが立っているのが凄い。ジョシュアに劣るどころか勝る面も多かったです。

マキシミン曰く、9歳にもなって自立していないような奴は無能。耳が痛い。

リチェ・アブリル

第二部『DEMONIC』ヒロイン。

劇団で針子(衣装作り)をしていたが、ジョシュアを取り巻く事件に巻き込まれてジョシュア・マキシミンと共に旅をすることになる。

おてんばでマキシミンに負けず劣らず口が悪く、剣も使えたりする力強い女の子。

マキシミンとリチェの「少年探偵と美人助手」コンビは本当に良かったんですが、マキシミンといい感じにならず残念…。

と、こんな感じでメインキャラなのですがTWではただのNPCに…なぜ…。

ティチエル・ジュスピアン

第二部『DEMONIC』で登場。

ジョシュアとマキシミンが度々お世話になるジュスピアン家の娘のウィザード。

マキシミンに魔法を教える先生として登場し、後にジョシュア・マキシミンと一緒にネニャフル学院に入学。

ゲームと違いアホみたいな口調ではなく、ちょっぴりドジな女の子程度。

マックス・カルディ

ジョシュアの俳優名。

ですが後半この名前が指すのは、ジョシュアのドッペルゲンガー。容姿や頭脳は勿論、造られた時のジョシュアと同じ記憶を持つ。

物語の序盤、この人形をいかにして始末するかという話で進みますが、ジョシュアがこの人形の存在で初めて自分自身を認識できたと思い、共に生きていきたいと思うようになります。そこでジョシュアが劇団で使っていた名前のマックス・カルディをこの人形にあげることにするのですが…。

マックス・カルディは、幼いころのジョシュアの記憶を持っているというのがとてつもなく切なかった。まさかこんな展開になるとは。

マキシミンと小さい頃遊んだ記憶は本体と同じようにあるのに、マキシミンにとって友達のジョシュアは自分ではなく本体のジョシュアだけ。親も自分が人形だとわかったら急に対応を変えた。全てジョシュアに居場所を奪われ、カルディはもうジョシュアには絶対になれない。そんな中で自分自身の存在に苦しみます。

そんな中彼を慰めたのはボリス。ボリスは彼をあえて「人形」として認め、その上で優しく接してあげてくれた。流石主人公だった!!

そんなマックス・カルディの結末が切なかった。幸せになってほしい。

その他のTW出演キャラクター

ナヤトレイ

第一部にちょこちょこ重要な役割で登場。

お姉さんを探している。謎だらけ。

シャルロット・ビエトリス・ド・オルランヌ(イスピン)

第三部『Blooded』主人公。

シルバースカル大会に出場しているが、準決勝あたりでオルランヌに危機が迫り棄権して帰ってしまった。第三部ではこのあたりの裏事情が語られそう。

イザク・デュカステル

イサック。

ボリスとイソレットが襲われた時に活躍。

クロエ・ダ・フォンティナ

第一部・第二部で登場する脇役。

とにかく完璧な美人として描かれており、第二部では魔法に興味が有ることも明らかに。

ストーリーとの絡みはほとんどないが、ランジエ、イエンとの長い会話シーンがあるのでキャラクターの内面は垣間見ることができます。

 

 

そんなルーンの子供たち。

未読の方には是非おすすめしたい作品です。

現在ハードカバーと文庫版(1部のみ)の2つがあるのですが、圧倒的におすすめなのはハードカバー。表紙が美しすぎるんですよ。表紙買いする人も多いみたいで、納得の出来です。

 

ですが、このルーンの子供たち、どうやら版権が切れてしまったようで宙出版ではもう取扱がない様子。
レアものになってしまったのでAmazonで中古を買うしかないという…。

実は私もこの本を日本各地の書店に電話で問い合わせて新品を配送してもらったのです(しかもまだデモニックの5は入手できておらず)。
こんなに熱意を持って本を集めたのは初めて。でもそんな行動に出るくらいの名作なんですよ。皆様も是非読んでみて下さい…!

※追記:デモニック5巻も無事入手しました\(^o^)/

ルーンの子供たちを既読でテイルズウィーバーを知らない方へ向けてのメッセージ

テイルズウィーバーはオンラインゲームであり、ストーリーを簡単に追うことができる性質のものではないため決しておすすめしやすいものではないのですが、1つだけ自信を持っておすすめできるものがあります。

それが、BGMです。

私はかなりのゲーム音楽オタクを自称していますが、テイルズウィーバーのサウンドはピカイチです。全てのゲーム音楽の頂点クラスに位置しているといっても全く過言ではありません。

そしてある意味では、テイルズウィーバーのBGMはルーンの子供たちのBGMであるといっても良いでしょう。

なのでゲームを知らない方は、サウンドを聴いてみて下さい。

有名な2曲である「Second Run」「Reminiscence」はもちろん、ボリスとイソレットに関わりの深い、月の島のサウンドである「Third Run」は原作ファンには必聴です。

とりあえず、この3曲は何があっても聴いて下さい。100%後悔しません。

特にThird Runはボリスとイソレットのラストシーンにはこれでもかとハマっている曲だと思いますよ。泣けます。

私が持っているサウンドトラック。見事にプレミア価格になってしまっていますね…。

 

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