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ルビンの壺が割れた:結末のネタバレあり感想
私の感想は正直なところ、まぁまぁだったというくらいです。あそこまで煽るのはやりすぎかな~という印象です。
理由は単純で、「そうだったのか~」意外の感想が特に出てこないからです。やられた感がないとでもいいましょうか。
伝わらない可能性が凄く高いですけど、この本は映画でいうところの『ワイルドシングス』シリーズみたいな感じです。序盤に伏線を張ってそれを回収していくのではなく、単純に意外でインパクトのある展開をどんどん出していって飽きさせないような感じ。この作品はそんなにガンガン意外な展開が出てくるわけではないですけどね。
というか、結末ありきで最初から読むと序中盤のメッセージのやり取りがまずおかしいような気がします。こんな相手とこんな生々しい内容のメッセージのやり取り、しますかね普通…?
内容を簡単にネタバレしていくと、
- 水谷と未帆子が過去を懐かしみながらメッセージをやり取りする。(最初は3年間未帆子から返事がなかったが、その後未帆子から少しずつ返事が来るようになる)
- 水谷は28年前のあの結婚式の日に未帆子が来なかったから、そこから人生が狂ってしまったと語る。今は1人で暮らしている様子。
- 大学生時代、地味だった未帆子が急に天才的な演技力を身につけるようになり、カリスマ的存在だった水谷と未帆子が恋に落ちる。
- 水谷は血の繋がっていない妹「優子」と婚約関係にあったが、優子が叔父と身体の関係を持っていたことが発覚し、優子を捨て未帆子と結婚することに決める。
- 実は未帆子は水谷に内緒でソープでアルバイトをしていて、演劇部の同期やその同級生とも身体の関係を持っていた。
- 未帆子は結婚式の前日に偶然水谷の引き出しから小さな髪飾りを見つけた。その髪飾りは交番の前に貼られていた行方不明の少女が付けていたものと同じであり、警察に行ってそのまま姿を消した。
- 半年後、水谷は幼女殺人容疑で逮捕された。過去にもいくつか余罪があったことも明らかになった。
- メッセージが来たのは、水谷が刑期を終え仮釈放されたから。
- 未帆子はメッセージのやり取りをしながら「優子」の消息を調べたところ、優子は水谷が仮釈放になってまもなく失踪していることがわかった。
- 未帆子は、水谷が自分にたくさんのメッセージを送ったのは、犯罪の原因を未帆子に認めさせたかったからだと悟り、未帆子は自分も優子も全く関係なく、全て水谷が悪いと告げる。そしてこのメッセージを送信した後にすべてのやり取りの内容をプリントして警察に行きます、さようならと告げて、完。
- 製品版は最後に未帆子が「とっとと死にやがれ、この変態野郎!」という暴言をわざわざ強調フォントで吐いて終わるようになっている。これがあまりにも安っぽく狙い過ぎで酷い。追加しなかったほうがよかったのでは。
- 製品版は帯、カバーの裏に絶賛のレビューがこれでもかというくらいぎっしり印刷されている。正直これがこの小説の中で一番のホラー要素。普通にゾワっとした。そこまで超絶賛されている作品ではない…。
こんな感じです。
読めばわかりますが、それぞれの要素にそれほどの繋がりは正直ありません。最後に全てがつながっていくという感覚も特にありません。
なのでジャンルとしてはミステリというよりサスペンス寄りになるかなと思います。
伏線は一応あるんですが、後から気付くには結構丁寧に読んでいないと駄目かもしれません。水谷が言う「この歳になって1年前から障碍者のいる施設で働き始めた」とか、「全然インターネットに触らない生活をしていた」とか、「警察に通報したりはしないでくださいね(笑)」とか、あのあたりが一応伏線にはなるんでしょうが、正直そこまでですよね…まず今の50代でもフェイスブックなんて触らない人たくさんいますし…。
ただ、とにかく地の文がないため物凄く読みやすいです。
会話ってスラスラ読み進められるんですよね。余計な描写がないのでw
私は歩いている時の景色がどうとか、その地方の文化がどうとか、いきなり登場人物がうんちくを語り始めたりするのは正直うっとおしく感じるタイプなので、こうやって会話だけで構成されているのは物凄く読みやすかったですw
『ルビンの壺が割れた』の最も優れたところは、この読みやすさだと感じました。先が気になってかつ読みやすいので、1時間超くらいで一気に読んでしまったんですよね。これはなかなか普通の本を読んでいて出来ることではないので。
ルビンの壷が割れたは現在キャンペーン版がKindleで無料で読めますよ~!
Amazonのレビュー評価も結構割れてますね。タイトルだけに。すみません。笑
※8/22追記:
ついに発売されました!私の周りの中型クラスのお店にはあまり置いていなかったので注意です。
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宿野さんの最新作『はるか』読みました。
私が好きなミステリ・サスペンスはこちらで紹介しています。
『ルビンの壺が割れた』を面白いと感じた方には、特に、「一気読み部門」と「サスペンス部門」の作品をおすすめしたいですね。