こんにちは!シュガーです。
今回は私が好きなミステリでも特に「叙述トリック物」に絞って、おすすめランキングを作成してみようかなと思います。
これは単に叙述トリックの面白さのみに絞ったものではなく、叙述トリック物の作品を個人的な視点から総合的に見て順番におすすめしています。当然私の好みが入っているのでツッコミ所は多々あるかと思いますが、お楽しみいただければ幸いです。
まだまだ読んでいる数が少なく、現在進行系で読んでいるところなのでこれから数が増えていけばいいなぁと思ってます!いや~面白いです。叙述トリック。
叙述トリックものを含め、総合的なミステリランキングはこちらの記事に特大ボリュームでまとめています。よければ合わせてご覧ください!
この記事で紹介している『イニシエーション・ラブ』は、Amazonの音読サービス「Audible」対応作品です!他にも、メジャーどころのアガサ・クリスティ作品や、別ジャンルの有名作品も対応しています。
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叙述トリックってなに?
文章の中に潜ませたトリックや先入観により、読者が頭のなかで真実とは違うものを想像しながら読み進めてしまい、真実が明らかになった時に衝撃が走るタイプのミステリー。
基本的には映像化してしまうと成立しないものが多く(「実はAとBが同一人物だったというパターンなど」)、相当面白い作品が多いのに映画化されないことが多いため、普段読書をしない方々には宝の山。是非ともおすすめしたいジャンルの1つ。
中には映画化されているものもありますが、基本的に原作とは何らかの形で別物になってしまっています。特に映画を先に見てしまうとその後に原作を読んでも面白さが半減するため、出来る限り本で読んで欲しいところです。
ただ、ぶっちゃけ「この本は叙述トリックだ」といって紹介することがまず1つのネタバレになってしまいます。
私はこれに関しては意外と気にしていなくて、こいつは叙述トリックだぞと身構えて挑戦するほうが好みです(それでも騙してくれる素晴らしい作品が多い)。逆に叙述と知らずに読んで、本格を読むような気分で挑んだ結果叙述だったというパターンで拍子抜けしてしまったことが何度かあったりw
そもそもこれが嫌な方は「叙述トリック おすすめ」で検索することはないでしょうし、今回はそれについてはスルーでいきたいと思います。
5つの視点から各作品を評価してみた
今回は各作品を、5つの視点で評価してみました。
①結末の衝撃
は、文字通りどんでん返しであったり、結末の驚きの大きさ。
②巧妙な伏線
は、ヒントが巧みに出されていたか、そしてそれによってもう一度読んだときに唸らされるかどうか。結末の衝撃の★が多くこの②の★が少ない場合は、フェアな謎解き小説というよりは騙しの小説に印象が近くなっていくと考えていただければOKです。
③意外な犯人
は、1と似たようなものですが、案外叙述トリックがフェイクになっている場合もあるので一応。
④一気に読ませる
は文字通り。
⑤話の面白さ
は本自体のストーリーが良質かどうか
です。
それでは前置きが長くなってしまいましたが、作品を紹介していきます!
おすすめランク★★★★★
『十角館の殺人』 綾辻行人
海外古典ミステリばかり読んでいた私が国内ミステリにハマるきっかけを作ってくれた思い出の一冊。『そして誰もいなくなった』をオマージュしているので、海外ミステリファンがこの作品から国内ミステリに挑戦した場合おそらく100%衝撃を受けますねw
叙述トリックに初めて触れた一冊でもあり、あの有名な一行で背筋が凍った体験は今でも忘れられません。
というか、背中がゾクゾクっとしたのなんてあれが人生で初でしたw 一言で「ドカン」と来るという意味では右に出るものはいない作品ですね。
普段ミステリに触れる機会がない方に、最初に手に取って欲しい一冊です。私と同じように、ハマるきっかけになってくれるかもしれません。
結末の衝撃:★★★★★
巧妙な伏線:★★
意外な犯人:★★★★★
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:★★★
『殺戮にいたる病』 我孫子武丸
2番目にこれを挙げたのは、これを1冊目に挙げるのはあまりにも…と思ったからで、
私が叙述トリック物で1番完成度が高いと思っている作品がコレ。実質1強でこれが頭1つ抜けてます。
最後の衝撃が凄まじいのは当たり前として、トリックの違和感、無理やりさ、気持ち悪さをほとんど感じなかった唯一の作品。それでいてしっかり読者にヒントを与える伏線が複数張られており、とにかく上手い。叙述トリックの面白さをこれでもかと味わうことができます。
ですがその代わりに、話の内容がとてつもなく気持ち悪いです。私は結構引きずりました。これだけベタ褒めしておきながら読み返すこともなかなかできないですw
逆にエログロ好きなら圧倒的覇権の一冊になるかと思います。
結末の衝撃:★★★★★
巧妙な伏線:★★★★★
意外な犯人:★★★★★
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:★
『ハサミ男』 殊能将之
叙述トリックは「この本のトリックはコレ一本!」というものが多い中、バランスよく散らされたトリックと話自体の面白さ、キャラクターの魅力、と全体が高水準でまとまった面白さがあるのがこの作品。
伏線が若干攻めているので読者にバレやすい点(逆にこれで駄目にならない作品であることを評価したい)、事件の真相が都合良すぎる点など粗はありますが、私は本当に面白い作品だと思っています。
映画化されていますが、未読の方は見ないように&調べないように注意です。パッケージの時点でネタバレされます。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★★(ちょっと攻めすぎ)
意外な犯人:★★★★★
一気に読ませる:★★★★
話の面白さ:★★★★★
おすすめランク★★★★
『慟哭』 貫井徳郎
連続幼女誘拐事件が起き、事件を捜査する警察内部の人間模様を重厚に描き出しつつ、傍らでは深い悲しみを抱える男が救いを求めて宗教に染まっていくという2つのストーリーが交互に展開する。
とにかく雰囲気が重厚で、綾辻氏の館シリーズなどとは真逆の重々しい雰囲気が全編に漂っています。貫井徳郎さんの本はこれが初めてでしたが、これがデビュー作とかビビります…面白かった。
軽い読み物が好みの方にはおすすめしづらいですが、個人的にはかなり面白いと思っている一作です。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★★★
意外な犯人:★★
一気に読ませる:★★★★
話の面白さ:★★★★★
『異人たちの館』 折原一
作家としてなかなか大成できない島崎潤一は、小松原妙子から「樹海で失踪したわが子・淳の伝記を書いて欲しい」とゴーストライターの仕事を依頼をされ、報酬の高さから引き受けることにする。
淳の伝記を完成させるために、島崎は淳の人生を生まれたときから辿っていくが、数多くの謎が浮上し、さらに島崎の周りでも不穏な動きが見え始める。
数多くの謎が絡み合う作り込まれたプロットと叙述トリックが融合した稀有な作品。
とにかく謎の数が他の作品の比ではなく、読んでいると何もかもがミスリードに見えてくるという珍しい感覚が味わえます。開始5ページくらいでもう叙述トリックだと身構える始まり方です。
この作品を読んでいると全てを疑いながら読むようになってくるので、最後に特大の衝撃を味わえるタイプではないと思うのですが、次々に伏線を回収していき謎が明らかになっていく構成は美しい。
600ページ近くあるのに一気に読ませる、凄い一冊だと思います。折原一は叙述トリックで有名な作家ですが、私はそれよりもプロットや話自体の面白さが折原さんの一番好きなところかもしれません。とにかく面白いのでおすすめ。
結末の衝撃:★★★
巧妙な伏線:★★★★★
意外な犯人:★★★
一気に読ませる:★★★★
話の面白さ:★★★★★
『倒錯のロンド』 折原一
作家志望の主人公:山本が月刊推理新人賞に受賞確実の手応えを感じた作品『幻の女』。手書き原稿を友人にタイプで打ってもらうことにするのだが、その友人がなんと原稿を紛失。そしてそれを拾った第三者が何気なしに読んだ『幻の女』の出来に感嘆し、受賞により得られる賞金と印税目的に、自分のものとして月刊推理賞に応募し、なんと受賞してしまう…!?
折原一の作品で最も有名だと思われる作品。
原作者と盗作者の駆け引きが殺人にまで発展していくこの作品は、とにかく話の展開が超がつくほど面白い。
上に挙げた『殺戮にいたる病』がその凄惨さで一気に読ませる(そしてトリックに気付かない)のに対し、この倒錯のロンドはとにかく先が気になって読んでいるうちにもう終盤。「ここからどんでん返しです」と筆者に言われて「あれ、もうそんなとこまで来てたのか!」と驚いてしまいます。
騙しの作品としては間違いなく超S級なのですが、大前提となるトリックが人を選ぶかもしれない…!私もあれさえなければ余裕で上の★5つに上げてました。
でも、「サクッと読めて綺麗に騙される」話が好きなら間違いない一冊です。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:★★★★★
『星降り山荘の殺人』 倉知淳
雪の降る外界から遮断された山荘が舞台で、各章のはじめに作者からの説明文があり(この章では○○が起こる。この点に注意、など)、本格ミステリのような雰囲気を醸し出す一作。
他の叙述ミステリとは少し違ったところに核がある作品で、わりと人を選ぶと思いますが私は結構好きです。この本に関してはネタバレせずにコメントするのが難しいw
最近(2017年夏)新装改訂版が出たので、これを機会に手にとって見るのをおすすめします。
結末の衝撃:★★★★★
巧妙な伏線:★★★★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★
話の面白さ:★★★
『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ
恋愛小説と見せかけて…という作品。
どんでん返しと紹介されることが多いですが、オチに関しては正直超簡単な部類。登場人物が少なく物語の幅が狭いため、1つ違和感が浮上すると考えられるオチがそう多くなく、何かしら予想してしまうと多分当たると思います。
なので、読了後対して面白くなかったと感じる方は私含め多いと思います。
しかし!この本に関しては絶対に二度読みしたほうがいいです。伏線を洗い直すと結構ゾクっときます。実はスルメ本なんですこれ。「最後から2行目の衝撃!」という煽り文句は的外れで、これはじわじわ系です。
ボリュームが少なく数時間で読める点も個人的にはすごく良かったです。恋愛小説好きなら是非。
結末の衝撃:★★
巧妙な伏線:★★★★★(伏線を楽しむ本といってもいい)
意外な犯人:
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:★★
『消失!』 中西智明
見事な赤毛と死体の消失。これが連続殺害事件の共通項だった…。二十五歳で、研究論文『都市と探偵』のベストセラーを持つ気鋭の私立探偵、新寺仁。彼が著書の中で詳しく分析した福×県高塔市に事務所を開くと間もなく、この不思議な事件が発生した。猟奇的な色あいを帯びるこの事件、真相は意外にも。
1993年に文庫化されてから2017年まで重版されなかったため、どうやら一部で幻の傑作だと呼ばれている一作。中西智明さんの長編はこれ1作なのでよりレア感がありますね…。
赤毛が狙われるということだけが共通点の3つの事件。何故かどれも死体が消失してしまっていて…。
連続でどんでん返しが展開されるので、驚きたい人にはおすすめ。
実は文庫版の表紙にはマジックアイの仕掛けがあり、これを見てしまうと話のトリックがわかるというおまけ付き。必ず読み終わった後に見てください。笑
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★★★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★★
話の面白さ:★★★
『アクロイド殺し』 アガサ・クリスティ
古典ミステリの超有名作品。これも叙述トリック作品と呼んでいいでしょう。
犯人のネタは今となっては超有名ですし映像化も2回されていますが、やっぱり面白さは原作が一番。(というか他の叙述トリック同様、どう頑張っても映像化では再現不可能)
この作品に関しては解説と映像作品に関しての紹介もしてみたので、合わせてご覧ください。(海外ドラマ版「アクロイド殺人事件」と三谷幸喜版「黒井戸殺し」はFODプレミアム(1ヶ月無料)で観れます)
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★★
意外な犯人:★★★
一気に読ませる:★★★
話の面白さ:★★★
『悲しみのイレーヌ』 ピエール・ルメートル
日本でもかなり売れて話題になった「その女アレックス」。あれはシリーズでいえば2作目にあたるのですが、1作目の「悲しみのイレーヌ」はかなり衝撃度が強い叙述トリック作品です。
数多いミステリ作品の中でもかなり絶望感が強いので、心が強い人向けですが衝撃はかなり強いです。
結末の衝撃:★★★★★
巧妙な伏線:★★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★★★
話の面白さ:★★★★
『死のドレスを花婿に』 ピエール・ルメートル
優秀なキャリアウーマンだった主人公が、時々記憶を失ってしまうようになり、記憶を失っている間に人を殺してしまったという疑惑が持ち上がる。
かつて正常だった自分が、なぜこんなことになったのかわからないという感情移入しやすいスタートが、まさに極上のサスペンス性。
衝撃の展開が多数用意されていて全く飽きないので、最後まで行き着く間もなく読み切ってしまえると思います。
結末の衝撃:★★
巧妙な伏線:★★★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:★★★★
『死の接吻』 アイラ・レヴィン
この作品もミステリーランキングで上位常連の作品。視点の切り替えによって読者の興味が移り変わっていくという面白い構成の作品です。
この作品は3章構成なのですが、それぞれの章で焦点が変わっていきます。
第一章では、あらすじの通り予定外の妊娠をしてしまった彼女をどのように始末するのか、犯人の男の心理をサスペンス要素たっぷりに描きます。
そして第二章。犯人の男を追う人物が登場し、そちらからミステリー的要素に移ります。ここで面白いのが、第一章の男の名前が登場していないが故に読者も犯人がわからないということ。第二章で犯人候補に上がる男たちの中に、第一章のあの男がいるのか。そのような視点で読み進めていくことになります。
それなりに長い作品ですが、このように視点が変わるため飽きが来ないのが特徴です。
結末の衝撃:★★★
巧妙な伏線:★★★★
意外な犯人:★★★
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:★★★★
おすすめランク★★★
『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎
叙述トリックの切れ味はもちろん、散りばめられた伏線が綺麗に回収されていくのが印象的な一作。
物語がミステリーというよりは青春小説の雰囲気で、かなりライトかつ起伏もあまりない点が人を選ぶかも。私はどちらかというと苦手でした。
しかし終盤の展開はさすがは伊坂幸太郎といったところ。話の好みがあえばかなりの良作に感じるのではないかと思います。
結末の衝撃:★★★
巧妙な伏線:★★★★★
意外な犯人:
一気に読ませる:★★
話の面白さ:★★★
『迷路館の殺人』 綾辻行人
館シリーズの中では私は時計館、十角館に次いで好きな作品。
この迷路館の殺人は間違いなく面白い作品なのですが、叙述トリックの枠として紹介するとなると一段階評価が落ちる印象です。ちょっとやりすぎなのでw
ただ小説としては凄く面白くて一気に読めます。十角館を面白いと思った方は水車館を読んでからこの迷路館に進むのがオススメ。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★★★
話の面白さ:★★★
『倒錯の死角 201号室の女』 折原一
上に「異人たちの館」で紹介した折原一の作品。
覗きが癖になっている翻訳家の男と、覗かれる若いOL…。しかしその女の首にはストッキングが…!というどこかヒッチコックの裏窓を連想させる始まり方。
なんと文庫でありながら最後の謎は袋とじの中。こんなの見たことありませんでしたw
異人たちの館、倒錯のロンド同様、一気に読ませる展開には脱帽です。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:★★★
『夜歩く』 横溝正史
横溝正史の金田一耕助シリーズの作品。
このシリーズは映像化の影響か、獄門島、犬神家の一族、八つ墓村、悪魔の手毬唄あたりが圧倒的な知名度を持っていると思いますが、この『夜歩く』もめちゃくちゃ面白いのでおすすめです。私は獄門島の次に好きです。
最近の国内小説ばかり読んでいると、この作品から醸し出される雰囲気のおどろおどろしさに驚くかも。オチの切れ味も抜群ですよ。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★★
話の面白さ:★★★
『仮面山荘殺人事件』 東野圭吾
高之の婚約者・森崎朋美が不可解な状況の事故で死んだ。
森崎家は毎年夏に別荘で避暑を楽しむイベントが恒例になっていて、高之も参加することに。
しかし8人が集まったその別荘に逃亡中の銀行強盗が侵入し、全員が捕らわれてしまう。
なんとか脱出を試みる8人だが、そんな中なんと1人が殺される殺人事件が起きてしまい、それには森崎朋美の事故が関係しているとしか思えない状況だった…!
というとにかく掴みがよくてガンガン読ませる作品。舞台映画みたい。
叙述トリック度は他の作品に劣るので叙述トリックを期待して読むと肩透かしを食うかもしれませんが、一気に読ませてくれて安定した満足感を与えてくれる作品です。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★
意外な犯人:★★★
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:★★★★
『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午
これはなかなか問題作の部類だと思います。とにかく尖った作品なので人を選びます。
トリックはもちろん、ストーリーの本筋とキャラクターという点でも人を選びますw
私はあまり好きじゃなかったんですが、トリックを見破るつもりですごく丁寧に読み進める結構ガチ志向の人や、とにかく騙されることが快感だという人には強くおすすめ。
何故ならこの作品は、他の作品に比べて圧倒的にオチを見破るのが難しいんじゃないかと私は思っているからです。なので、本気で挑むにはかなり手応えがあるでしょうし、騙されたい人にはもってこいです。
ラストに伏線に関しての解説がありますが、解説をしっかりしないとアンフェアに思われるんじゃないかというようなレベルの伏線が多く、それを「よく出来てるなぁ」と感じるか、「ここまでして騙したいの?」と感じるかでトリックへの好みがわかれると思います。
私はミステリーに関しては作者側も危ない綱渡りしているほうが好みで、作者がヒントを出していればいるほど、騙された時に「お見事」と言いたくなるんですよね。
しかしこの作品に関しては、パワーバランスが圧倒的に作者側にあるように感じられて、読者である私は圧倒的なパワーで為す術もなく散ったという感覚でした。
とは言え、結末の衝撃度なら間違いなくトップクラスの一冊なので、気になる方は是非手にとってみてください!
結末の衝撃:★★★★★
巧妙な伏線:★★★★(もはや巧妙を越えた理論的な伏線)
意外な犯人:
一気に読ませる:★★★★
話の面白さ:★★
『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介
叙述トリック物の中でも特に好みが分かれそうな一冊。とにかく世界観が不思議そのもの。
小学四年生の主人公、ミチオの元に、首を吊った同級生のS君が一週間後にあるものに姿を変えて現れ、「僕は殺されたんだ」と訴える。幼い妹のミカと共に、ミチオは真相を探ることに…。
他の作品と比べても文章から感じる違和感がとても多く、話の着地点がなかなか予想できません。叙述トリックならではの結末が存分に楽しめる一冊です。
結末の衝撃:★★★★★
巧妙な伏線:★★★
意外な犯人:★★★★
一気に読ませる:★★★
話の面白さ:★★★
『どんどん橋、落ちた』 綾辻行人
上に挙げた十角館の殺人をはじめとする館シリーズの綾辻行人の短編。
この「どんどん橋」は叙述トリックに特化した短編作品集で、謎解きクイズ風に各話が展開していくので叙述トリック好きなら絶対に読んで損はない作品。
また、サザエさんをモチーフにした(作者いわくそれは誤解)本当にとんでもない短編「伊園家の崩壊」は読む価値しかないですw ほんとヤバすぎて笑えてきます。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★★★(伏線をクイズ形式で楽しめる)
意外な犯人:★★★
一気に読ませる:★★★★★
話の面白さ:伊園家の崩壊は必読
おすすめランク★★
『ロートレック荘事件』 筒井康隆
叙述トリックならではの結末を存分に楽しめる一冊。
ロートレックの作品に彩られた洋館で、3人の美女が次々と殺される。
1990年に発表され当時斬新だったこともあり謎解きの解説が若干くどいですが、このおかげでどこに伏線を張ってあったかがわかりやすいので嬉しい一面も。
上品な舞台に似合う情緒的な結末も好みです。200ページという薄さなので1日で読める点も嬉しい。
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★★★
意外な犯人:★★★
一気に読ませる:★★★★
話の面白さ:★★★
『螢』 麻耶雄嵩
十角館の殺人のオマージュと思われる館系のミステリ。
オカルトサークルの大学生が、10年前に大量殺人があったというファイアフライ館に肝試しにやってきた。そのサークルの一人の女子メンバーが半年前に未逮捕の連続殺人鬼「ジョージ」に惨殺されており、それがどう話に絡んでくるのかという視点で話が進みます。
この作品は私のミステリ読書人生で初めて、素でミスリードされることなくトリックの1つを当然のように見破ってしまっていた作品です…。
見破るどころか、読み始めから当然そう思って読んでいたので終盤で逆に唖然…。レビューを読むと結構同じ人もいたので、感想はかなり人によって分かれるかもしれないですね…w
ただもちろんそれだけの小説ではないので、ちゃんと驚かされる結末が待っているのは間違いありません。そこはご安心を!
結末の衝撃:★★★★
巧妙な伏線:★★
意外な犯人:★★
一気に読ませる:★★★
話の面白さ:★★
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こちらでは映画を紹介しています。
ジャンルは変わりますが、私はファンタジーも大好物です。