【ミステリー小説のおすすめ】私が読んだ名作ミステリーを部門別にランキング!【国内&海外】

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①どんでん返し部門

②プロット(物語)完成度部門

③本格ミステリ(謎解き)部門

④トリック部門

⑤一気読み部門

⑥サスペンス部門

⑦短編部門

⑧番外:映像作品部門&私が好きなミステリベスト10+α

おすすめミステリ「プロット完成度」部門

『折れた竜骨』 米澤穂信

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。
自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン)」候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年――そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?
現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場!

魔法が存在する世界。十二世紀のロンドン近くにあるソロン諸島で、暗殺騎士の服従の魔法によって操られた何者かに主人公の父である領主が殺害される。

とにかくファンタジー+ミステリーの融合が魅力的な作品で、普通のミステリにはない数々の魅力的な伏線とその回収はお見事。

欠点としてはファンタジーな世界観故に読者がいまいち推理に集中できない点(魔法でどうにかなるんじゃないかと感じた時点で考えるのが面倒になってしまう)。人を選ぶのは間違いないです。

しかしこの世界観が好みなら絶対楽しめる一冊だと思います。私は他の記事でも書いたことがありますが中世ファンタジーの世界観が大好きなので、その世界で大好きなミステリが楽しめるのはとても贅沢な時間でした。

でも、なんでこのボリュームで上下巻に分けたんだろう…一冊にしてほしかったです。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:S

『慟哭』 貫井徳郎

連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。

連続幼女誘拐事件が起き、事件を捜査する警察内部の人間模様を重厚に描き出しつつ、傍らでは深い悲しみを抱える男が救いを求めて宗教に染まっていくという2つのストーリーが交互に展開する。

とにかく雰囲気が重厚で、貫井徳郎さんの本はこれが初めてでしたが、これがデビュー作とかビビります…面白かった。

とにかく読後感が重く、ずっしりとした余韻が楽しめます。私はこの余韻が堪らなく好みでした。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『頼子のために』 法月綸太郎

「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自らは死を選ぶ――という手記を残していた。しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が。著者の転機となった記念碑的作品。長く心に残る傑作!

若干タイトルから古臭さが漂っていますがw、最初から最後まで一気に読ませる傑作です。とにかく法月さんは文章が上手くて読みやすいですねぇ。

物語は被害者の娘の父親の手記から始まります。娘が殺され、しかも妊娠していたことが発覚。警察は通り魔の犯行だと決めつけるが、父親は娘の腹の中の子供の父親を犯人だと決めつけ、その通りに男を殺し、自殺を図ってしまう。

あたかもそれで全てが解決したように見えますが、綸太郎は手記の中に違和感を感じて…という展開。

かなり人間関係が整理されていてわかりやすく、推理のしがいがあります。手がかりから推理するというより、人間関係から推理するタイプの作品なので、心理的な動きを追う楽しさが味わえました。

余韻もなかなか強烈で、しばらくはずっしり来るかも。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『異人たちの館』 折原一

8歳で児童文学賞を受賞し天才少年と呼ばれた小松原淳は、なぜ富士の樹海に消えたのか?母親の依頼で淳の伝記を書くことになった作家志望の島崎は、膨大な資料を読み、関係者に取材して淳の人生に迫るが、やがて不気味な“異人”の影が彼の周辺に出没するようになり…。

数多くの謎が絡み合う作り込まれたプロットと叙述トリックが融合した稀有な作品。

作家としてなかなか大成できない島崎潤一は、小松原妙子から「樹海で失踪したわが子・淳の伝記を書いて欲しい」とゴーストライターの仕事を依頼をされ、報酬の高さから引き受けることにする。

淳の伝記を完成させるために、島崎は淳の人生を生まれたときから辿っていくが、数多くの謎が浮上し、さらに島崎の周りでも不穏な動きが見え始める。

とにかく謎の数が他の作品の比ではなく、読んでいると何もかもがミスリードに見えてくるという珍しい感覚が味わえます。

この作品を読んでいると全てを疑いながら読むようになってくるので、最後に特大の衝撃を味わえるタイプではないと思うのですが、次々に伏線を回収していき謎が明らかになっていく構成は美しい。

600ページ近くあるのに一気に読ませる、凄い一冊だと思います。折原一は叙述トリックで有名な作家ですが、私はそれよりもプロットや話自体の面白さが折原さんの一番好きなところかもしれません。とにかく面白いのでおすすめ。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『七回死んだ男』 西澤保彦

同一人物が連続死! 恐るべき殺人の環。殺されるたび甦り、また殺される祖父を救おうと謎に挑む少年探偵。どうしても殺人が防げない!? 不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう、渕上零治郎老人――。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは! 時空の不条理を核にした、本格長編パズラー。

主人公が時間をループする力を持っているという設定が特異な作品。

祖父が殺される事件が発生し、ちょうどその日にループ「反復落とし穴」にハマってしまう。反復落とし穴にハマると、その日を9回繰り返すことができ、9回目の結果がその日の決定版として結果付けられる。

祖父が死なないように奮闘する主人公だが、行動を変えても毎回祖父が死んでしまう…!

ループ物が好きな方には堪らない作品ですね。ちょっとライトな文体が人を選びますが、斬新なトリックが楽しめます。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『13階段』 高野和明

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。

冤罪疑惑のある死刑囚を、刑務官と前科を背負った青年の2人で救おうとする話。

「死刑」というものについて非常に考えさせられる一作で、特に死刑執行の描写の生々しさが凄い。物語のほうも人間描写、メッセージ性とエンターテインメント性が両立されていて、しばらく頭から抜けないかも。これでデビュー作とか…。

ミステリーというよりはサスペンス寄りですが、Amazonやhontoなどの評価は他の名作と比べても非常に高い。面白さは保証付きの一冊です。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『幽霊刑事』 有栖川有栖

俺は神崎達也。職業、刑事。美人のフィアンセを残して無念にも射殺された……はずが幽霊に!? しかも犯人の上司が密室状況で何者かに殺されて……。いったい真犯人は誰なんだ! そして俺はどうなってしまうんだ! ミステリーとラブストーリーが融合、2001年度本格ミステリー・ベスト10入りの傑作。

主人公はなんと理由もわからず上司に殺されてしまった。しかし成仏できずに幽霊に!

殺された無念を晴らすために自分で犯人を見つけようと奔走する、新しいミステリ作品。

これがミステリというより一つの小説として非常に完成度が高いです。死んだ後に幽霊になってフィアンセのところに行っては悲しみに暮れる様子には感情移入してしまうこと間違いなし。有栖川先生は切なさを地の文で表現するのが本当に上手いですよね。

クライマックスの切なさは一級品。死ぬということをもう一度考えさせられましたね…。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『屍人荘の殺人』 今村昌弘 ※無料で聴ける!

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!! 究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?! 奇想と本格ミステリが見事に融合する選考委員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!

今村昌弘氏のデビュー作にして2018年のミステリーの各賞を3冠と総なめにした話題作。

これは確かに面白かった!あらすじを言うだけでもネタバレになるので上手くボカして紹介すると、新しい形のクローズドサークル物。序盤から意外な展開が畳み掛けてくるので、ワクワクして一気に読めちゃいます。そしてちょっと青春小説っぽいテイストも。

キャラクターが有栖川有栖先生の学生アリスシリーズに似た雰囲気を感じたので、あちらが好きなら読みやすいかも。

また、Amazonの音読サービスのaudibleにも対応しているので、無料体験でこの『屍人荘の殺人』を全編聴くことができちゃいます!未読の方は無料で楽しめるチャンスなので、ぜひ!

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『魔眼の匣の殺人』 今村昌弘

その日、“魔眼の匣”を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は、予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人に死が訪れ、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに、客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り四十八時間。二人の予言に支配された匣のなかで、生き残り謎を解き明かせるか?! 二十一世紀最高の大型新人による、待望のシリーズ第2弾。

屍人荘で一躍有名になった今村昌弘のシリーズ第二作。

屍人荘でも発揮されていた、舞台装置における新しい発想という視点ではこの人はやはり抜群に上手いですね。今作は「必ず的中する予言」という設定が事件に絡んでくることで、今までにない話運びになっています。

ただ、今作はテーマ上作品にオカルトの雰囲気がガッツリなので、ここは人を選ぶかもしれない。あの有名ドラマ「トリック」をちょっと思い出しました。あの雰囲気が好きなら抜群かも。

私はオカルトに全然興味が無いので読み進めるのがちょっとつらかったですが、ミステリとしての面白さは安定していると感じました。ただ前作よりはやはり少し落ちるかな…。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『大誘拐』 天藤真

三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。…時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる!第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。

身代金目的で誘拐したおばあちゃんがまさかのスーパーおばあちゃんだった…!

ミステリでありながら笑いながら読める傑作。とにかくおばあちゃんのポテンシャルが半端じゃないw

テンポもいいですし明るい気分になるミステリが読みたい方は是非。終盤はホロリと来る場面も。世間の評価も非常に高いです。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティー

その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作!

ミステリの知名度では世界一なんじゃないかと思う、『そして誰もいなくなった』。

私はミステリを読む前の小さい頃からポアロ、マープルの海外ドラマを見まくっていたので、クリスティ作品の中でもこの『そして誰もいなくなった』に触れたのは結構後の方でした。

初読時はポアロもマープルも出てこないことが寂しいと思いつつも、1日で一気に読み切ってその面白さに驚いたのを覚えています。

最近BBCで映像化されたものがかなり原作に忠実で面白かったので、この作品が好きな方は是非!

ちなみにアガサ・クリスティ作品はポアロもマープルも全て映像化されています。映像配信サービスではU-NEXT(1ヶ月無料)FODプレミアム(1ヶ月無料)でのみ配信されているので、ぜひ一ヶ月の無料体験で観てみて下さい!(どちらも未体験で1ヶ月無料体験できるのなら、三谷幸喜版のアクロイド殺し『黒井戸殺し』が観れるFODプレミアム(1ヶ月無料)のほうがおすすめです。)

また、この『そして誰もいなくなった』は、Amazonのオーデイオブック(音読)サービスAudible対応作品です!アガサ・クリスティ作品は他にも『オリエント急行殺人事件』や『ABC殺人事件』のような一級作品も聴けますので、こちらも1ヶ月無料体験でぜひ聴いてみてください!

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『グリーン家殺人事件』 ヴァン・ダイン

ニューヨークのどまんなかにとり残された前世紀の古邸グリーン家で、二人の娘が射たれるという惨劇がもちあがった。この事件をかわきりに、一家のみな殺しを企てる姿なき殺人者が跳梁する。神のごときファイロ・ヴァンス探偵にも、さすがに焦慮の色が加わった。一ダースにのぼる著者の作品中でも、一、二を争うといわれる超A級の名作。

上で紹介した『Yの悲劇』の基になった、超古典であるヴァン・ダインの作品で、館で次々起こる殺人事件の走りともいえる存在。

今の時代から考えると犯人は正直わかります。全く意外でもなく、本当にわかるんですが、全編通しての雰囲気がすっごくいいんですよ。おどろおどろしくて。Yの悲劇はこの点に関してはグリーン家を越えられなかったなと。

洋館、薄暗い、閉鎖的。このワードでグッと来たら是非手に取ってみてほしいです!

結末の衝撃:★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:B

『湿地』 アーナルデュル・インドリダソン

レイキャヴィクの湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。侵入の形跡はなし。何者かが突発的に殺害し逃走したらしい。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、残されたメッセージが事件の様相を変えた。明らかになる被害者の過去。肺腑をえぐる真相。ガラスの鍵賞2年連続受賞の快挙を成し遂げ、CWAゴールドダガーを受賞した、北欧ミステリの巨人の話題作。

北欧ミステリらしい、重厚さ、残虐さ、そして考えさせられるテーマのすべてが揃った作品。

エーレンデュルシリーズの3作目らしいのですが、和訳ではシリーズ1作目になります。

事件は物凄くシンプルで、結末であっと驚くタイプの小説ではないんですが、とにかく全編通して暗く、やるせないのに、読後感はまるで暗闇に一筋の光が射したような独特の感覚が味わえます。

映画化もされているので観てみましたが、はっきりいってかなり微妙なので原作を読むのをおすすめします。

結末の衝撃:★★

巧妙な伏線:★★

一気に読ませる:★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:B

『緑衣の女』 アーナルデュル・インドリダソン

男の子が住宅建設地で拾ったのは、人間の肋骨の一部だった。レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、通報を受けて現場に駆けつける。だが、その骨はどう見ても最近埋められたものではなさそうだった。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。サマーハウス関係者のものか。それとも軍の関係か。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て明らかに。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞をダブル受賞。世界中が戦慄し涙した、究極の北欧ミステリ登場。

『湿地』に続くアーナルデュル・インドリダソンの和訳第2作。

「床に座った子どもがしゃぶっているものを見て、若者はすぐにそれが人間の骨だとわかった」という1行目は、私にとって近年で最強のインパクトでした。

『湿地』でもやるせない悲劇を重厚に描き出していましたが、この2作目ではそれが更にパワーアップしています。今作はやるせないを越えてめっちゃ切ない。今まで読んだミステリでも最高かなというくらい切なかった。でもやっぱり読後感は、強烈な切なさの中に柔らかい暖かさがありました。

湿地同様、謎解きを楽しむタイプのミステリではありませんが、メッセージ性の強さに惹きつけられる、凄い作品だと思います。

結末の衝撃:★★★★

巧妙な伏線:★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

『そしてミランダを殺す』 ピーター・スワンソン

空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の策略と攻防を描く傑作ミステリ!

う〜ん面白い!

空港のバーで出会った男女が「もう二度と会うことはないんだから、嘘はなしで真実だけを語り合いましょう」と会話を始めるプロローグから、もう雰囲気に夢中でした。こういう楽しみ方って海外ミステリならではだよなぁ…。

章ごとに語り手が変わっていくタイプのミステリはもうかなり数も多いので、当然叙述トリックに警戒しながら読み進めましたが、思った方向に進まないあたり流石高評価のミステリです。

文章は少し直訳気味かな?と感じましたがそれがいい味を出していて、最初から最後までページをめくる手が止まりませんでした。サスペンスとしても素晴らしい完成度だと思います。

この『そしてミランダを殺す』はすでに映画化も予定されているようなので、キャスティングも楽しみです。

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★

一気に読ませる:★★★★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★

おすすめランク:A

『カササギ殺人事件』 アンソニー・ホロヴィッツ

現代ミステリの最高峰が贈る、すべてのミステリファンへの最高のプレゼント!
1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは……。その死は小さな村の人々へ徐々に波紋を広げていく。燃やされた肖像画、消えた毒薬、謎の訪問者、そして第二の死。病を抱えた名探偵アティカス・ピュントの推理は――。現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なオマージュ作品!

プロット完成度部門ってこの作品のためにあるんじゃないかってくらい、プロットの完成度がズバ抜けて高い作品がこの『カササギ殺人事件』。

とにかく作中作という形をとっているミステリの中では圧倒的な完成度かなと思います。見事という言葉が似合う。

アガサ・クリスティへの愛に満ちたオマージュ作品との売り文句通り、とにかくミステリファンがニヤリとできる部分が多いのも特徴。またあの牧歌的なミステリの世界に浸りたいと思った方だけでなく、現代のミステリらしい衝撃も充分に備えている名作です。

こんにちは!シュガーです。 やっと読みました。話題の海外ミステリ『カササギ殺人事件』。 これ、本当にすごい作品でした。読了後の高揚した気...

結末の衝撃:★★★

巧妙な伏線:★★★★★

一気に読ませる:★★

話の面白さ:★★★★★

完成度:★★★★★

おすすめランク:A

特捜部Qシリーズ

2018年8月現在、3作目まで映画化されているデンマークのミステリ。

登場人物のキャラクターがかなり立っているのに加えて、北欧ミステリらしく犯罪がえげつないのが特徴で、事件の動機や背景が独特でかなり面白いです。

最近流行ったところでいえば、「その女アレックス」のカミーユ警部のシリーズが気に入った方ならまず間違いなく楽しめるのではないかと。

原作は非常に評価が高いですが、まずは雰囲気を掴むために映画を観てみるのをおすすめ。

特捜部Q-檻の中の女-(アマゾンプライム・ビデオ)

フロスト警部シリーズ

各種ミステリランキングで必ずといっていいほど上位に入るフロスト警部シリーズ。

そのことから超王道のミステリと思っている人も多そうですが、実はちょっと毛色が違います。論理的な謎解きや、どんでん返しを楽しむタイプの作品ではありません。

キャラクターと、ストーリーテリングの見事さを楽しむ作品です。

まず、キャラクターとそれを取り巻く人間関係が超面白い。

まず主人公のジャック・フロストは「英国のコロンボ」と呼ばれることもありますが、似ているのは服装のヨレヨレ具合だけ。それ以外は大体フロストのほうが酷いと思ってくれて大丈夫ですw

フロストは女性を見れば胸と尻の話ばかりで、思ったことはすぐに口にする。直属の上司には相当嫌われていていつもキレられるが、フロストはゴリ押し。超巻き込まれ体質で、物語中の大体の不幸はこのフロスト警部の元に集まってしまい、そのせいでフロストの部下は朝の4時まで帰れない。笑えるw

ミステリとしての特徴は、1作で起こる事件の数がとにかく多いこと。5,6個は軽く起きます。

そしてそれらはそれぞれが全く関係がありそうもない事件ばかり。その全てを解決するためにフロストが奔走することになります。

本も分厚くて読むのも大変ですが、1冊読み終わるとすぐに次が読みたくなってしまう、魔力のあるシリーズだと思いますね~。

順番は、

  1. クリスマスのフロスト
  2. フロスト日和
  3. 夜のフロスト
  4. フロスト気質
  5. 冬のフロスト
  6. フロスト始末

です!

①どんでん返し部門

②プロット(物語)完成度部門

③本格ミステリ(謎解き)部門

④トリック部門

⑤一気読み部門

⑥サスペンス部門

⑦短編部門

⑧番外:映像作品部門&私が好きなミステリベスト10+α